第16章 忘れられない水曜日 前編
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一心side
「……ん」
俺はゆっくりと目を開けた
頭がボーッとし上手く思考が定まらない。少し天井を見たあとプレゼントマイクが居た所に視線を向けるもそこにはもう誰もいなくて代わりに俺の上着が椅子に乗せられていた
俺は視線を再び天井に向け、何度か瞬きを繰り返し深い息を吐き出す
(なんだかんだあのままプレゼントマイクに寝かされたんだな……。なんだろ…なんか…凄く屈辱的な気が!!!)
クッ!と俺は眉間に皺を寄せる。
(でも、ぐっすり寝たから気分はだいぶマシかも…二人には感謝だなぁ)
そんな事を考えているとやっと意識がハッキリしてきた。今何時だろうと時計を確認する……
(……二限目の終わりかぁ。……。………え?)
俺はもう一度時計をしっかり確認する
…………ん?二限目の終わり………え?!?!お、終わり?!?!え?!?!本当にぐっすりじゃん!!お、終わったぁあああああ!!イレイザーヘッドに除籍処分されるぅううううううう!!)
ピシャーンッと雷に撃たれたかのような衝撃と共にガバッとベッドから飛び起きると上着に荷物、氷を途中で変えてくれたんであろう氷のうを手に持ち仕切りのカーテンを開ける
「リカバリーガールおはよ!!!これ、ありがとう!!行ってくる!!!じゃ!!!」
早口に告げながら氷のうを押し付けるような形で渡しさっさとドアを開け廊下に飛び出そうとするが、「言葉」とリカバリーガールに止められる。俺がなんだろうと振り返りリカバリーガールを見てみると少し真剣な顔付きだった。
「今はマシだろうけど、また気分が悪くなったらいつでも来なさい。いいね?今日一日はそれとの付き合いだよ」
「……。うん、気をつける……」
俺は胸に手を当てそう言った
「それと、手の傷もう『治ってる』だろ?後で外しときな」
「あ、そうだった!!教室に戻る前に外しとくよ!ありがとう」
それじゃ!と言いながら保健室を出る俺だったけどまた保健室に戻る。
「……あの、さ……その……
……。……ごめん!や、やっぱりなんでもない!」
(今日一日頑張ったら話を聞いて欲しい…なんて今は言えないよね…)
俺は言葉を飲み込んで再び保健室を出ようとした
「大丈夫、今日一日頑張りな」
その言葉は俺の心に染み込んで泣きそうになったけど俺は笑顔を向け再び保健室を後にした