第16章 忘れられない水曜日 前編
(お前の『どっちも』っていうのはきっと言葉の寝顔とヴィランの事じゃなくて、『言葉自身の事』とヴィランの事なんだろ?バレバレよ相澤ちゃ〜ん♪
……なんて、相澤には直接言えないけど……っていうか、俺がそう気付く前提で言っただろ?
あー、怖い怖い!言葉が大変な時に側にいてズルいって嫉妬も感じて怖いなぁ相澤ちゃん!
……ま、俺が相澤と同じ立場なら同じことしてたけどさ)
そんな事を考えていると、相澤は「そういえば」と切り出した。
「山田、お前元々保健室に何のようだったんだ?」
「リカバリーガールにお便りが来てて……ア"ッ!」
俺の反応で全てを察した相澤は俺に冷ややかな視線を向ける。
(Ah〜……お前言葉に夢中で忘れてただろって視線を感じる……その通りだぜ!相澤!さっすが親友!!)
「待っててやるからはよ行ってこい」
「やっさすぃ〜!!ついでに言葉の寝顔をおg」
「………。」
「ソーリーソーリー!!無言で捕縛やめて相澤ちゃん!!ジョークジョーク!ジャパニーズジョーク!!ギャアアアア!!」
………………。
その後、校長室にて言葉の様子を校長に説明した。本当はメンバー集めて会議を開いた方がいいんだろうけれど、事情が事情というわけで校長、相澤、俺…後は遅刻してるオールマイトのみに話をすることになった。
「……っていうわけ。言葉に直接聞いた訳じゃなくあくまで俺の推測ではあるけどな」
「なるほど……うん、言葉君の事を見てくれてありがとうマイク。私も同じ推測をするのさ。したうえで今我々に出来ることは何も無い。……歯痒いけどね」
俺と相澤は黙って校長の話に耳を傾ける。
(やっぱりそうなるよな……登下校俺らが護衛したいが、下手に警護を付けてしまえば言葉が今日のことを俺達に話したとヴィランに思われ、居るであろう人質に危害を加えられる危険性がある。
何処でヴィランが見ているかも分からねぇ状態で下手に俺達ヒーローが動く事も今は出来ない。歯痒いってレベルじゃねぇよ……)
ギリッと歯に思わず力が篭もる。
「二人には申し訳ないけど、この件は私に任せて欲しい。君達には言葉君にいつも通り接する事をお願いしたいのさ!周りに警戒しすぎて言葉君に気付かれないようにね。他の先生方になにか聞かれても今はこの件は伝えないように」