第16章 忘れられない水曜日 前編
(ったく……いったいどこのどいつだ?うちの言葉に手ぇ出した奴は……)
溢れんばかりの怒りを抑えながら相澤に連絡を入れるべくスマホを取り出すも、どうやらその必要はなかったようで
「……山田、言葉の様子はどうだ?」
相澤は怖い顔をしながら俺に聞く
「よぉ、今はグッスリネンネンコロリよ。怪我も大したことない」
俺がそう言うと安心したのか相澤の身体から少し力が抜けた。余程心配だったらしい
相澤にも治療中に既に連絡済みだ。
やること済ませた後に保健室にすっ飛んで来たんだろうな……なんてことを思いながらニマニマとしそうな顔を必死で堪える。
相澤は一言「そうか」と言うと保健室のドアに手を伸ばそうとしたので俺は全力でブロックする。相澤は眉間にシワを寄せながらも、何度もドアを開けようとしてくるので何度でも俺はブロックする。
「おい、山田……いい加減に退け!」
ブチギレる相澤に俺は腕で胸元にバツを作る
「NO!!……って俺も中に入ってゆっくり寝顔を拝みたいが、リカバリーガールが怪我人以外はお断り!言葉の睡眠妨害!!ってことで門前払いよ。他の先生方にもヨロシク!ってことで……
……言葉の寝顔は諦めな相澤!」
「お前と一緒にすんな!俺はコイツの担任だ。怪我の具合をこの目で見ておく必y」
「ワーワー!!キコエナーイ!!後はリカバリーガールに任せて……
………。俺らは別にやることがあるだろ」
俺がそう言うと、相澤は少し冷静になったのか一つ息を吐く
「……。そうだな、悪い……場所を移すぞ」
歩き出す相澤に着いていきながら俺はスマホで教師らにリカバリーガールから言われた事を送る。
(よし、これで言葉の安眠は護られた!)
相澤はゴソゴソとスマホを取り出し中身を確認したあと隣を歩く俺の顔を見る。
「なんで俺にも送ったんだよ」
「ん?一応一応♪もしかしたら我慢出来ずに行くんじゃねぇかなぁ〜ってな!俺次授業あるし、抜け駆けは無しだぜ?」
「お前なぁ……」とため息混じりに言いながら相澤は呆れたような冷ややかな目で俺を見た後スッと視線を前に向けた。
「『どっちも』抜け駆けはしねぇよ」
「……そりゃ、安心したぜ」
俺はニヤッと笑いながら言葉にこんなおいたをしたヴィランに怒りを燃やす。
それともう一つメラッとする気持ちを抑えた。