第16章 忘れられない水曜日 前編
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プレゼントマイクside
三分後……
「………スー……スー……」スンヤァ〜!!
(思った以上にはっっっっっや!!凄い気持ち良さそうに寝息立てて寝てるし!!)
笑いを必死に堪えるものの体がプルプルと震える。
起こさないように手を布団の中に戻し握っていた手を名残惜しく思いながら………
………………………………………………………………………………………………………………離した。
心の中ではぁ〜っとクソデカため息を吐きながらまだ手に残る言葉の手の温もりを噛み締めつつ一緒に添い寝をしたい気持ちとこの布団の腹の部分に顔を埋めたい気持ちを抑え込む。
サングラスをかける前に言葉の気持ち良さそうな寝顔を目に焼き付け脳裏に焼き付けまくった後、椅子から立ち上がり畳んでいた上着を椅子に置く。
リカバリーガールの方を見てみると冷ややかな目と呆れたような顔で見ていたような気がするが……俺は気にしない!!!
(それよりも……だ……)
ピシッと空気が張り詰める。
「……『猫』、ねぇ」
リカバリーガールがボソッと呟く。治療中に既に怪我の経緯は説明済みだ。そして言葉が嘘をついていることも既に気がついている。
そこから事情も既に大体察し済み。だからお互い多くは語らない。
「『怒りの感情を引き出す』個性持ちかもしれねぇな」
「この個性今日一日消えないだろね、言葉には辛いだろうけれど時間経過を待つしかない。イレイザーヘッドが一日中ついてるって訳にも行かないだろう」
「「…………。」」
俺とリカバリーガールは無言で視線を合わせる。どうやら、リカバリーガールも同じことを思ってるようだ。
(仕掛けた奴は確実に言葉の『あれ』を知ってる)
「それじゃ、言葉はこっちに任せて…イレイザーヘッドによろしく言っときな」
「Yeah!任せたぜリカバリーガール!
……イレイザーに話した後また戻っt」
「ダメ、怪我人以外は帰んな。邪魔だよ」ビシッ
(寝顔もっと見たかった…)シュンッ
「あと、あの二人は勿論、他の教師にも言っときな。言葉がゆっくり寝れたもんじゃないだろ」
「オーケー…」シュシュンッ
「さぁ、早く行った行った」
半分追い出されるような形で俺は保健室から出た。
廊下に出た後、俺は一つ息を吐き出す。