第16章 忘れられない水曜日 前編
そんな俺をプレゼントマイクは力強く抱き締めた。
「......ッ!!」
俺は目を丸くさせつつも、心の中で離せ!離れろ!!触らないでくれ!!!と騒ぎ立てる言葉とドロドロと吐き気がする感情が押し寄せ、耐えきれなくなった俺はプレゼントマイクの身体をグッ!と強く押し返すもビクともしない。
俺が口を開きかけた時
「よしよし、【大丈夫】だ。
辛かったな...悲しかったな...痛かったな...
『怖かったな』
もう【大丈夫】だ言葉。」
プレゼントマイクの優しい声が俺の心の声と感情を優しく優しく包み込む。
全部分かっているというようなプレゼントマイクの言葉に俺は身体の力がスッと抜け、押し返していた手をゆっくりゆっくりとプレゼントマイクの背中に回しそっと触れる。
(......暖かい)
プレゼントマイクの体温と匂いに安心した俺の目からはまた涙がボロボロと溢れプレゼントマイクの身体に顔を埋め声を押し殺して暫く泣きじゃくった。
……………。
現在保健室
リカバリーガールの個性を使わずに擦り傷の手当をしてもらい、両手に氷のうを持ちながら腫れた頬と泣いて腫れぼったくなった瞼を冷やし俺はズーンッと落ち込んでいる。理由は簡単で実に明白......
授業に遅れた......つまり遅刻......つまり......
ブツブツブツ「除籍処分除籍処分除籍処分除籍処分除籍処分除籍処分除籍処分除籍処分除籍処分......」ブツブツブツ
「ドントウォーリー!言葉リスナー!イレイザーは俺に任せとけって!」
「本当?......。あ、でも......その......」
あの約束を思い出しモヤモヤとする頭......それをかき消すかのようにプレゼントマイクは俺の頭をワシャワシャと撫でくりまわす。
「とりあえず、一限目はもうサボっちまえ!!」
「え"?!」
プレゼントマイクの言葉に俺は思わず固まってしまった。
リカバリーガールは呆れたようにやれやれと言う。
「教師が言って良い発言とは思えないけど......
でも確かに少し寝た方がいいだろう。顔色が少し優れないみたいだからね」
俺は二人の言葉に悩みつつも少し間を空け、教室に戻るべく椅子から立ち上がる。