第15章 一方その頃、緑谷出久は?
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出久side
僕は気が付いたら勢いよく走り出していた。
君に謝らなきゃいけないけれど文章が上手く頭の中でまとまらない…感情もグチャグチャで落ち着いて話をするのも難しいと分かっているけれど、一度走り出した足は止められなくて止まらなくて
「い”っっっし”ん”ぐ”ぅ”ん”!!!」
なんとも言えない悲惨的な僕の声が聞こえた一心君はバッ!っとこちらに視線を向けたままビックリしているのか固まっていた。
君の顔を見るとドバドバと言葉が溢れ出す
「ご”め”ん”本”当”に”ご”め”ん”!!!!!!!!!!!
僕”は”君”に”な”ん”て”酷”い”事”を”!!!本”当”に”ご”め”ん”ね”ぇ”え”え”え”え”え”!!!!」
もしかしたら避けられちゃうかもしれない。けれど、君の温もりを匂いを少しだけでいい最後でいいから感じたくて……
僕は君に飛び込んだ。
君は避けることもせず、僕をギュッと抱き締めてくれた。それだけで僕の心はどれほど救われたと思う?
本当はこのままずっと君に抱き締めて欲しい包み込んで欲しい…けど、ダメだよね
僕は覚悟を決める
「い”っ”し”ん”ぐ”ん”!”!”」
僕はガバッと勢い良く顔を上げ涙でグッシャグシャに濡れた顔を一心君に向けた。
「は、はい!!」
一心君は声が裏返った返事していた。そんな声も僕は大好きだなぁなんて少し思っちゃって…
白い髪、いつもの優しい顔、大きな目、黄丹色の瞳…思わずボロボロと涙がこぼれる。
覚悟したはずの言葉……本当は言いたくない。けれど君が望むなら僕はそれに従う…だから…だから…
君に思うこの感情だけは許して欲しいんだ。
……そんな覚悟を決めていたのに君は途中で僕の口を塞いだ。僕は突然のことに頭の思考が追いつかなくなってただ君の瞳を見つめる事しか出来なくなっていた。
「俺の話聞いてくれる?」
一心君の優しい口調に僕は少し冷静になった頭でコクッと頷くと、君は優しい口調で僕に話してくれた。
てっきり僕は一心君が怒ってるとばかり思っていたけれど、飯田君や麗日さんが言っていた通り僕の勘違いだった。