第4章 入学初日……??
その部屋には仮眠室と書かれていた。
相澤はドアを開けると、一心を中へ誘導する。
「ちょっとの間ここで寝てろ」
「えぇええぇええ〜?!」
一心からブーイングが巻き起こる。
「いいから早くしろ。時間が勿体ない」
相澤に言われるがまま上着を脱ぎ渋々ソファーの肘掛からでんぐり返しをしながら仰向けにバタッと寝転ぶ。
「俺は平気だって〜!眠くないし〜!」
「そう言って倒れたのはどこのどいつだ?
前にも言ったがお前の個性は無限の可能性を秘めてると言っても過言じゃない。
ただ、まだまだ扱いきれていない所もある。未だに【常に個性が発動している状態】だ。昔よりマシにはなったが、それでも体に影響が出ている。現在進行形でな」
「…………。」
そう、一心は個性のON/OFFの切り替えが未だに出来ていない。OFFにしたと思えばいつの間にかONになってしまう。
常にONにする状態ならば問題なく出来るため戦闘などでの支障はないが、日常生活を送る上では少し厄介ではある。
倒れたというのも身体が疲れているのに個性によって眠くない平気だという【言葉】で無理矢理身体を動かしていただけで、身体はとうに限界を迎えていたのだ。
そして個性がOFFになると一気に疲労が溢れ出し、そのまま体力が回復するまで眠りについた。
「あの時は確か三日ぐらい目を覚まさなかったっけ?」
「そうだな。俺があの時どれだけ…」
「………どれだけ???」
待ってもその先の言葉を言わない相澤に疑問を思いながら聞き返すが、返ってきたのは言葉ではなく相澤の個性『抹消』だった。
「ちょっ!…ま……いき………な……」
一心の瞼が重くなり、何度か開けようと頑張って見たものの眠気に抗うことが出来ずそのまま目を閉じ直ぐにスースーと小さな寝息をたてた。
(本当は俺の個性で強制的にじゃなくて自分自身で徐々に眠る方が良かったんだけどな。)
相澤は近くにあったブランケットを優しくかける。
そして、眠る一心の顔を見てみると目から少し涙が出ていた。
それを手で拭ってやり、優しく頭を撫でる
(ごめんな…)
強制的に個性を切られ一気に疲労と眠気が来るのは本人にとってはなかなか辛い事のようで、いつも寝た時に涙を流す事を相澤は知っている。
起きた本人はいつもスッキリした顔をしているが……
あまり相澤自身は良くは思わなかった。
