第15章 一方その頃、緑谷出久は?
「そういえば、気になってたんやけど爆豪君とデク君と言葉君って知り合いなんだよね?三人とも幼馴染…とか?」
「ううん、かっちゃんと僕は幼馴染だけど…一心君は、五歳の夏に一ヶ月一緒に遊んでただけなんだ。一心君とも幼なじみだったら良かったんだけど…」
「そうだったのか……」
飯田君は少し真剣な顔をしながらそう呟く。
「そっかぁ〜!入学初日の朝、言葉君とデク君って知り合いなような違うような不思議な距離感って感じやったんやけど個性把握テストの時に『昔っから諦めの悪いやつ〜』って言ってたからやっぱり二人は知り合い?って思ってて……謎だったんだよねぇ」
僕はその言葉にビクッと身体を震わせた。言葉君の昔の記憶がないなんて勝手に喋るなんて出来ない…
「麗日君、あれじゃないか?久々に出逢うと緊張するというかどう接していいかお互いちょっと分からなくなる…って感じの…」
飯田君の言葉に救われたとホッとしながら僕は「そうそう!」と便乗すると麗日さんはなるほど!と言いながら納得したような顔をした。
話に区切りが着いた所で僕はチラッとスマホに目線を向けるも未だに返信は来ない…
「あ、昔の言葉君ってどんなんだった?今とやっぱり変わらないのかな?」
「昔の一心君…か……」
僕は遠い昔の事を思い出すけれど、何年経っても一心君と過ごしたあの一ヶ月は昨日の事のように思い出せた。思わず笑がこぼれる
「…うん、変わらないかな?いつも笑顔で元気でキラキラしてて困ってる人がいたら放って置けなくて、本当に自由奔放で勝手にどっか行っちゃうし居ないと思ったら突然目の前に現れるし…そんな一心君に僕もかっちゃんも振り回されてさ…
好奇心旺盛の割には世間知らずな所も沢山あって色んな意味で目が離せなかったなぁ……」
(本当に…今も昔も僕は君から目が離せないんだよなぁ…。……かっちゃんもそうなんだよねきっと…
…………。ってまた僕は余計な事考えて…!!)
モヤモヤとする気持ちを何度今日押さえつけたことかもう数えることは出来ないけれど、僕はまた懲りずに抑え込む。
「じゃあ、あの犬みたいに人懐っこいのも昔からなんやね」
(犬みたい…!!言い方はあれだけど容易に想像出来てしまう…)
麗日さんの一言で僕の中の一心君妄想に尻尾と耳が生える…ちょっと罪悪感が出たのですぐさま心の奥底に消し去った…