第15章 一方その頃、緑谷出久は?
変な汗がブワッと吹き出した。
黙れば黙るだけ飯田君と麗日さんはどうしたんだろうといった表情になっていく……
(どうしようどうしようどうしよう…なにか…なにか!!えっとえっとえっと!!
……あ!!)
「え〜っと…じ、実は最近更新されたマイトの新曲を言葉君まだ聞いてなかったんだよ!家帰ってから聞こうって楽しみにしてたんだけど…その…皆がマイトの話をしてて僕も混ざりたくなって言葉君ごと連れて行っちゃって…だから…その…」
(うわぁ〜!!すごい嘘ついちゃった…罪悪感でしかない…ごめん!!一心君、飯田君、麗日さん!!)
僕は百回ほど心の中で謝罪を繰り返した。そんな事を知らない麗日さんと飯田君は真剣に考えてくれている。罪悪感でしかない…
先に口を開いたのは麗日さんだった。
「そうだったんだ…言葉君からマイトの話してるの聞いたこと無かったから私そんなに好きだと思わなかったよ!
まぁ、確かに私も楽しみにしてた物をネタバレされたら嫌かなぁ?」
飯田君はなにかが繋がったという顔をする
「……!!なるほどそういう事か!!今朝言葉君がトイレに行ってから全然帰ってこなかった謎が解けた!確かに教室でマイトの話で盛り上がっていたな。
確かにネタバレが嫌な人もいるだろう…次からは、委員長として今度からは皆に注意するべきか…」
飯田君のその言葉にドキッとする
「いやいや、そこまでしなくていいんじゃないかな?!一心君も気を使っちゃうだろうし!!そ、それとこの話はここだけにして欲しいんだ!!」
「確かに変にクラスの雰囲気を悪くするのも良くは無いな…よし、俺からも言葉君を気にするようにはしよう」
(よ、良かった…僕の嘘が大変な事になる所だった…)
そんな話を他所に麗日さんはまた悩ましいと言った表情をしている
「う〜ん、言葉君は本当に怒ってたのかな?言葉君の事だから嫌な事は嫌って言う気がするんだよね〜…実はデク君が思ってるほど怒ってないんじゃないかなって私は思うよ」
その言葉に僕はハッとする。麗日さんの言った通り昔から一心君は嫌な事には嫌、ダメなことにはダメとはっきり言う性格だった。僕の願望も混じっているけれどもしかしたら僕の気にしすぎなんじゃないかと思えた。
ホッとしたのと同時に言われなきゃその発想にならないなんてと少しムズ痒い気持ちにもなったけれど今は静かに抑え込んだ。