第15章 一方その頃、緑谷出久は?
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時間を遡ること昼休み、一心と心操が話をする少し前の事……
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出久side
今、僕は食堂で麗日さんと飯田君と三人でご飯を食べているのだけれど、ぜんっぜん食事が喉を通らなかった。それぐらい今朝一心君にした事が突っかかって仕方なかった。
「……はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜」
思わずため息が漏れ出してしまう。そんな僕の長い溜息に麗日さんは吹き出し、飯田君は心配そうな顔をする。
「なっっがいため息や!!」ブフゥッ!!
「今日は残念だったがまた明日誘えばいいんじゃないか?俺からも一声かけてみるとしよう」
「ありがとう飯田君…そう、だね…確かに飯田君の言う通り明日また誘ってみるよ」
僕は無理矢理笑顔を作って二人に心配させないようにご飯を口に押し込んだ。
(はぁ、本当に僕のバカ…!一心君が嫌がってることをするなんて何してるんだよ!……一心君がかっちゃんをなんて呼ぼうと勝手じゃないか!……。そう、勝手だよ…)
授業中何度も繰り返した言葉をまた繰り返す。思い出すと胸がズキッと痛む
(……一心君どこに遊びに行ったのかな?どんなことをしたの?どんな話をしてどんな顔をしてたのかな…どのぐらい楽しかった?君にとって僕とかっちゃんは…
…………。は!!また僕はそんな事考えて…!!消し去らなきゃ!!
………。もう!!)
モヤモヤと何度も霧がかかる頭の中にイライラとしながら必死に払い除けた。けれど、払い除ければ次は罪悪感が再び僕に覆いかぶさってくる。
「デク君…言葉君と喧嘩したん?」
「え”?!」
麗日さんの言葉に思考が停止する。僕が言葉を失っていると、飯田君と麗日さんは顔を見合わせたあと僕に優しい笑を浮かべた
「緑谷君の力になれるかはわからないが、俺達に話してみないか?」
「うんうん!」
「飯田君…麗日さん…」
二人の暖かい言葉に目がジワジワと熱くなるのを感じる。僕は二人に相談しようと口を開きかけるも…
(いや…なんて二人に説明すればいいんだろ?!そもそも二人は一心君がマイトって事を勿論知らないわけだし…。は、話せない…!!相談も出来ない…どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう…今更やっぱり大丈夫なんて言えないよぉぉおお!!)