第14章 一心の自由気ままな一日
そんな事を考えられる余裕が俺にはあるんだなと思うとフッと笑ってしまう。
俺は出久の体に腕を回しギュッと抱き締める。
俺は何とか後ろに倒れずにバランスを取ると出久のこのミサイル並の勢いを殺すために俺を軸にしながらグルグルと回転し徐々に徐々に勢いを受け流していった。
そして、数回回転したところで完全にピタッと止まる。
(な、なんとかなった…俺…頑張った…凄い頑張った…結局がっつり右腕に力入れた…痛てぇ…)
右腕が小刻みに震えるのを隠すために出久の体からスッと離し、安堵のため息をした後胸の中に収まった出久に視線を向けるも顔を埋めたままピクリとも動かない。けれど腕にはしっかり力が入っている。
俺は頭の中にハテナを思い浮かべながら出久の頭を撫でようとした時、少し離れた場所から二人の視線を感じた。チラッと見てみると飯田と麗日だった。
そんな二人に声をかけようと口を開きかけた時…
「い”っ”し”ん”ぐ”ん”!”!”」
出久はガバッと勢い良く顔を上げ涙でグッシャグシャに濡れた顔をこちらに向けた。
「は、はい!!」
俺はそんな勢いにビックリしてしまい声が裏返った返事をしてしまった。けれど、出久はそんな事を気にせずに俺の顔を見てはまたボロボロと涙を流す。
「い”っ”し”ん”ぐ”ん”!!
今”朝”は”本”当”に”ご”め”ん”!!
あ”の”時”の”僕”は”ど”う”か”し”て”た”!!返信帰ってこなかったのはそれだけ君を傷付けたってことだよね!?本当にごめんね?!君が嫌がってた事を僕はしたんだ。怒るのは当然な事だよ…無理に許してくれとは言わない…
不快ならもう話しかけない!!
近付かない!!
……君が望むなら
…もう
……と、友達も…や…
……やめ
ブッ!!!!」
俺はその先を言わせまいと出久の口を左手で覆った。
「…………。」
「…………。」
出久は目を丸く開けながら時が止まったように動かなくなった。俺は少し間を開けてから口を開く。
「俺の話聞いてくれる?」
俺がそう言うと出久は少し冷静を取り戻したのかコクッと頷いた。俺は左手をスッと退ける。
「んじゃ、まず前提に俺は怒ってない。いいな?」
また出久はコクッと頷く。