第14章 一心の自由気ままな一日
そう思いながら俺は素直に指示に従う。それからリカバリーガールは俺のワイシャツの袖を捲り、ふむっ…と言いながら俺の腕をまじまじと見つめる。
「…………。」
俺も同じように自分の腕をまじまじと見つめた。
手にはなんの影響も出てはいなかったが問題は袖に隠れていた腕だった。これでもかというほどに真っ赤になり、炎を纏っているように熱く腫れていた。
「「…………。」」
リカバリーガールはなんで昼休みにこんな酷い状態になってるんだという眼差しを俺に向ける。ので、全力で視線を逸らした。
リカバリーガールはため息を一つ付いたあと唇を尖らせ…
「チユ〜〜〜〜〜〜!!」
俺の腕に治癒を施した。
緑の光を放ちながら俺の腕は赤みや熱、腫れが無くなった。
「ありがとうリカバリーガール!完全に治った!」
二ヒヒッと笑うもリカバリーガールはやれやれといった顔をする。
「…腕に力を込めてみな」
「………。」
俺は言われた通りにする
「………。ほら!もう全く痛くn」
「個性を使うのはよしな、また副作用が出るよ!」
叱られた俺はウグッと口を閉じ、作り笑いを辞めた。
「私に嘘を付くのはやめな。
『完全に』私の治癒で治せない事ぐらいこうなった瞬間から自分で分かってることだろうに⋯
全く⋯毎回見破られてるのに懲りずに本当に⋯」
「ゴメンナサイ⋯」
俺は力無く小さな声で視線を合わせずにそう言った。
本当にわかっているのかという視線を俺に向けながらリカバリーガールはまた一つため息を付いた。
実は俺の副作用は特殊でリカバリーガールが直せるのは副作用の中で『軽傷』に分類される物だったりする。けれど、治せなくとも痛みなど少し緩和されるため決して治癒が無駄という訳じゃない。
さらに俺は副作用を受けた後、その副作用を自分で分析出来るため既にこの痛みは完全に治らない事もわかっている。
(⋯さらに言うならば経験でどの程度の副作用が自分に来るのかも大まかな予想は出来たりもする⋯まぁ、今回みたいに予想以上な時もあるけど⋯
…けれど予想出来ることは誰にも言っていない…お説教が増えそうだから…)
「痛みが辛いなら痛み止m」
「だ、だだだだ大丈夫!!もうそこまでの痛みじゃないし!!その⋯あの⋯ほら!?」
俺がワタワタと取り乱し慌てふためくとリカバリーガールはフッと楽しそうに笑った。