第14章 一心の自由気ままな一日
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心操side
俺は感情を落ち着かせる様に一つ息を吐いた後、すぐ隣に置いてあった紙とペンを手に取り思わず息を飲み込む
(…え?これ…サイン?!芸術作品の様に見えるんだけど…?!しかもこれあの数分で書いたのかよ?!)
自分の思っていたサインと違い過ぎて俺は目を見開くしかなかった。紙の端から端まで絵が描いている…
『気持ちいっっっぱい込めて書かなきゃ釣り合わないな!!』
そんな一心の言葉を思い出し俺はプッと吹き出した。
(気持ち入れすぎてやりすぎだろ…ったく…絵柄全部違うし…はぁ、貰えなかったって嘘つきたいな)
そんな事を考えながら一枚…二枚…三枚と捲った所でピタッと動きが止まった。
(……??どれも失敗したようには見えねぇけどな…まぁ、一心の中では違ったんだろ…)
そんな事を考えながら四枚目を見た所で俺は更に目を見開いた。
四枚目は俺の似顔絵だった
そして隣にはこう書いてあった
『ヒーロー科で待ってる』
……と
俺はゆっくりと顔を片手で覆い深い深い深い深い息を吐き出した。
(い”や”い”や”い”や”い”や”!”!無”理”!”!”尊”い”を”通”り”越”し”過”ぎ”だ”ろ”!”!”こ”れ”が”無”自”覚”な”ら”俺”は”あ”ん”た”が”怖”い”!”!”)
「…………。」
(い”や”絶”対”無”自”覚”な”気”が”す”る”!”!”)
また深い深い深い深い息を吐きながら、空を見上げてみる。もう尊すぎて思考が停止した俺は何も考えずにただ
「あ〜良い天気だなぁ」
と呟いた。
………………。
その後クラスに戻った俺は二人に一心のサインを渡した。言うまでもなく暫くクラスでは一心のサインがヤバいという話題で持ちきりになり、写真に収める奴もいた。 …まぁ、これも言うまでもなく俺も渡す前に写真を撮った一人だ。
それと、俺の似顔絵ともう一枚のサインは見せてはいない。
これは俺だけの宝物だから…
俺とあんたの秘密
そう考えるだけで俺の心が少し満たされるような気がした。