第14章 一心の自由気ままな一日
そして少し間を開けて一心はニコッと笑う
「心操のクラスの奴って面白いな!俺のサインなんてなんの需要もないだろうに…」
それを聞いた心操はカッと目を見開いた。
「そんな事!!!な…!!…い……と思う」
「お、おぉ…」
突然の心操の大きな声に少しビックリする一心。
心操はハッと我に一心にごめんと謝る。
「で、でもさ…そいつらにとっては需要ありすぎると…思う…。あんたの…その、ファ、ファン…らしいし……
……尊敬してるからしいからさ」
心操は首を手で触りながら照れくさそうにそう言った
「…そっか…そうなんだな…
…んじゃ!気持ちいっっっぱい込めて書かなきゃ釣り合わないな!!」
ニヒヒッと笑い心操からペンと紙を受け取る。
「……って言っても俺サインあんまり書いたことないんだよな…下手だったらごめんな?」
「いや、無理言って頼んでるのこっちだし…気持ちが大事だと思う…」
(どんなサインでも寧ろそれはそれで需要しかない…うん)
心の中で心操はそう確信する。
「んじゃ、遠慮なく!…えっと、三枚だよな?」
「あぁ」
一心は左手でペンを持ちながらどういうのを書こうかと悩む仕草をする。
そんな様子を見ながら心操は思っていた疑問を口に出す。
「……一心って『右利き』じゃないのか?」
「……。」
「さっきからずっと左手ばっか使ってるよな…右手を庇うみたいに…」
「…………。」
「あ、いや…別にたまたまならいいんだけどさ、俺の考えすぎかもしれないよな」
少しの沈黙の後一心はプッと吹き出した。
「確かにそれは心操の考えすぎ!俺は両利きなんだよ!だから本当にたまたま!」
「そ、うだよな…なんかごめん」
照れくさそうに笑う心操を横目にサラサラと一心はペンを動かし……
(…こっちこそごめん)
一心は心の中でそう謝るのだった。