第14章 一心の自由気ままな一日
「もちろん俺も警戒したよ?けど心操が向けてる視線とか気配が敵意や悪意とかマイナス方向じゃなくて、その真逆だった。…だから俺も凄い気になったし、話したくもなった!別に気持ち悪いだとかそういうのは思わなかったけどな…まぁ、ビックリはしたけど…
もしもマイナス方向の気配だったら俺は直ぐに立ち去ってたよ。だから、誰とでもこの距離ってことは無いな」
そう一心が言い終わると心操は徐々に目を丸くさせ再び顔を赤らめた。
「ち、ちなみにだけど…お、俺の気配って…ど、どんな感じの…やつ…だった…?」
「ん?話しかけたいなぁ〜って感じ…かな?それとかなりの緊張感というか…とにかく凄かったけどな」
「そ……っか……。…はぁ」
「……??」
安堵のような残念というようなため息を吐く心操に一心はキョトンとした顔をしながら卵焼きをモッモッと食べる。
そんな時、一心の携帯がブルッと震える。右ポケットからスマホを取り出し左手に持ち替え見てみると出久からチャットが来ていた。
「……プッ」
一心は思わず内容にクスッと笑ってしまうと、心操はどうした?という顔で見つめる。
「出久…あ、名前で言っても分からないよな?俺のクラスの奴なんだけどさっき連絡が来てさ…すっごい長文で思わず笑いが…」
クスクスと一心は楽しそうに笑う。
(……俺とは違う笑い方だな…安心してるっていうか…クラスメイトなんだから当たり前なんだろうけど…仲も良いんだろうし…同じヒーロー科でさ…)
「………。」
一心は未だ画面を楽しそうに見ている。
…そんな様子をただひたすらに横目で見る心操の心にはモヤモヤと霧のような物がかかり始める。
(…って何変な気持ちになってんだろ…別に一心が何しようと勝手だろ…
そう、勝手だ………。
………………。)
心操はゴソゴソとポケットからペンとメモ帳を取り出す。
「あのさ、頼みがあるんだけど…」
「ん?頼み…?」
一心はスマホから視線を外し、心操が持ってる物を見ては目をパチパチとさせ首を傾げる
「その…クラスの奴があんたのサイン欲しいらしくて…二枚…あ、いや三枚頼みたいんだ」
一心はポカーンとした顔をしている
「俺の?サイン……?オールマイトとかじゃなくて?」
「あぁ」
「…ほぁ」
驚き過ぎてか一心は目を丸くさせ間抜けな声を出す。