第14章 一心の自由気ままな一日
「え”?!俺そんなに物欲しそうな顔してた?!
た、確かに美味そうだとは思ったけど…やべ、顔に出てたか…」
一心は少し顔を赤らめウグッと唸った。
その表情に心操は深くため息を吐き自分を落ち着かせる。が…目にはしっかりと焼き付ける…
(…全然そういうつもりで俺は言ったわけじゃないんだけど…いや、寧ろ勘違いありがとうまである…)
「…いや、そういう訳じゃない…俺が勝手にやりたいと思っただけだから」
「そっか!良かったぁ〜!…んでも俺が貰うと心操の昼飯減っちゃうしなぁ…」
「…別に俺は気にしないけど」
(寧ろもう色々とお腹いっぱいではあるし)
一心は、ん〜っと一つ唸ってからそうだ!と閃きトートバッグに手を突っ込んでおにぎりを取り出した。
「ジャーン!んじゃ、これと交換って事で!嫌だったら俺のおかずと交換だな♪ちなみに具はツナマヨだ!」
一心のドヤッとした顔に心操はフッと吹き出す。
「わかった。じゃあおにぎりと交換で」
「成立〜♪」
ニヒヒッと一心は笑いながら心操におにぎりを渡し、左手でサンドイッチを一つ貰った。
「ありがとな心操!」
そう言いながら一つガブッと頬張り、ん〜っと美味しそうにまた唸り声をあげた。
心操はその様子をまじまじと見つめ、その後にアルミホイルに包まれたおにぎりを一口頬張った。
(……!!美味!!…心に染みるみたいな優しい味がする…)
「これ、隠し味でも入ってるのか?」
「…ん?いや?もしかして不味かったか?!」
「いや、美味い…凄く…」
その言葉を聞いて一心はホッと胸を撫で下ろした。
(…じゃあこんなに美味しく感じるのは…
………。)
心操の顔が少し赤くなっていたが、一心はそれに気が付くことは無かった。
…………。
心操の顔の熱が取れた頃…少し間を開けてから心操は一心に質問をしてみた。
「なぁ、あんたっていつも人との距離感こんな感じなのか?俺と初対面のはずなのに積極的というか…
それに壁に隠れながら見てたのに気持ち悪いとか思わなかったのか?
俺なら気持ち悪いって思うだろうし警戒してすぐにこの場所から離れるけど…」
一心はその言葉にピタッと動きを一瞬止めるもフッと優しく笑い、心操に目線を移した。