第14章 一心の自由気ままな一日
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一心side
…少し前の事
俺は話しかけようと勢い良く立ち上がり個性を素早く使う。そしてそのまま素早く大ジャンプ!
そして戸惑ってる間に相手の背後へと音と気配を消し声をかけた。
……そして現在、相手が驚きすぎて石のようになってしまった。
(ど、どどどど、どうしよう…?!ピクリとも動かない!!っていうか本当に見たことない生徒だ!!)
うーん…と考えているとその生徒が持っていたランチラッシュお手製のサンドイッチセットが目に入った。
「……!あ、そうだった!良ければだけど一緒に俺とお昼しないかなぁ〜って誘おうと思ってたんだ!」
そう言うと、その生徒は緊張しながらも口を開いた。
「…あ、あの」
「……?」
「……いつも、…ここで食べてるんですか」
俺は答えようとしたが、何かが『言葉に混じっている』様な不思議な感覚に陥った。
(……なんだろ、答えない方が良いとは思うけど…)
俺は相手がこちらを向いていないのを良い事に個性を素早く使った。
「…いや?今日はたまたま」
そう答えた瞬間ピタッと身体が動かなくなった。
(なるほど…そういう事…問いかけに答えた相手の動きを止める個性なのかな?)
俺が個性にかかった事が分かった生徒は走って逃げようとしたため、俺はその腕を左手でガシッと掴んだ。
「ッ?!な、なんで動けて…?!」
「そりゃ、ビックリするよね…
俺の個性で無理矢理解除させてもらった。」
「…とりあえず…離してもらえます?」
(……また、個性使ってるな)
俺は首を横にブンブンッと振った。その生徒は自分の個性の発動条件を見破られたと理解したのか小さな溜め息を吐き、観念したようだ。
俺はホッと胸を撫で下ろしながら口の中に溜まった血をゴクッと飲み込んだ。
(…ヴェ!口の中鉄の味だ…目の前で血を吐いたらビックリするだろなと思って飲み込んだけど…するんじゃなかった…
……それとやっぱり結構無理したな…このやり方は……
…ッ)
俺はそんな事を思いながら必死に表情に出さないように堪える。
「とりあえず喋りながら一緒にお昼食べようぜ!」
その生徒は何も言わずにコクコクと頷いた。