第14章 一心の自由気ままな一日
……そんな時だった。
あいつの視線が俺の方を向いた。
「ッ?!?!」
突然の事に俺は慌てて体を引っ込め、隠れる
(って何隠れてんだ?!今チャンスだっただろ…
はぁ…というか完全に気付いてるよな…流石ヒーロー科ってところか…
…………。『ヒーロー科』か)
少しモヤッとする心を押さえつけながら、俺はまた覚悟を決め顔を出してみる。
けれど、いざ姿を見るとまるで身体が石になったように固まり心臓の動きが早くなる。
(よし…落ち着け、歩く→ベンチの所に行く→『普通』に話す→『普通』…に会話を→『普通』に…
……。普通ってなんだ?)
また頭の中でグルグルと考えていると
「………。」チラッ
また視線を向けられた為慌てて身を隠す。
「ッ!」サッ
「…………。」←視線逸し
「………。」ヒョコッ
(〜〜〜〜〜ッ!)
自分でも何がしたいのか分からなくなった俺は言葉に出来ない言葉を心の中で叫んだ。
そんな時…
「あn」
視線をこちらに向けずにあいつは俺に声をかけようとした
「ッ!?!?!?」
ので、逃げようとした。
(いや!いやいやいやチャンスだろ俺!!ここで逃げたら本当に変な奴だろ…?!)
「あ、あ〜イイテンキダナァ!」
「………。」
(…完全に気を使わせた……はぁ…)
気を使って貰った事となかなか話かけられない自分にズーンッと気持ちが落ち込む。
そんな中…あいつはいきなり立ち上がった!こっちに来る気かと思い、逃げようと身構えたが…
予想外な事に俺の目の前から姿が消えた…!
「え?!」
俺は思わず驚いた声を口に出す。
(何処に行った?!消えた?!個性か?!)
そんな事を考えていると…
「あのs」
「ッ?!?!?!?!?!」
俺は人生初めて口から心臓が本当に飛び出すかと思うぐらい身体を震わせ驚いた。
いつの間にかあいつは背後に回って来ていた。なんの気配もなく…本当にポンッと現れたかのように
「あー…えっと、驚いたよな?!ごめんな!普通に声掛けようとしたらどっか行きそうだったし、でも気になるしでさ…ちょっと強引だけどこうした方がいいかなって……
あの、さ?大丈夫?」
「…………。」
(大”丈”夫”じ”ゃ”な”い”で”す”)
とあるネットのコメントにて…
『推しと会話は死と隣り合わせ』