第12章 爆豪日和?!
…………が
「……ッ!?」
俺の口が突然一心の手に覆われた。一心は眠たそうな目をしながら俺の方を見つめていた。
(やっっっべぇ!!油断した!!)
「……ん、勝己…寝れねぇの?」
(今”勝”己”呼”び”す”ん”な”!”!”)
ウトウトした声で俺にそう言う一心。頭の思考が完全に止まった俺はコクコクと頷く事にした。
一心はゴソゴソと動きベッドに一人分の隙間を作るとと俺に眠気を帯びた優しい声で
「おいで」
と布団を優しく叩きながらそう呼びかけた。
(ん”ん”ん”ん”ん”!”!”破”壊”力”!”!”)
声を必死に抑えながら俺は一心の布団に潜り込んだ。すると一心は俺を抱き込むように優しく包み込む
また一心の匂いと体温を感じ心臓がバクバクとうるさく聞こえる。
(余計に寝れねぇし!!お前さっきの事どう思ってんだ?!何でなんも言わねぇんだよ?!なぁ?!)
思考がまとまらず言い訳も思い浮かばずただひたすらに大人しく一心に包み込まれる
「よし、勝己が良い夢見れるように俺が子守唄歌ってやるからな」
(歌うんじゃねぇよ!!さらに寝れねぇわボケ!!)
そんな俺の考えを知らずに一心は優しく歌い出した。
「……!!!」
(……これ…って……)
その歌は俺が初めて一心の歌声を聞いた時に歌っていたものだった。一心の母親がよく歌ってくれていたものらしい。曲名はわからない…
一心はこの歌が嫌いだと言ってたな…悲しくなるからと母親に言っても毎日寝る前に歌われたらしい
悲しくても段々落ち着いてきていつの間にか寝ていて朝起きた時には頭がスッキリしてるんだと
「…………。」
(確かに一心の言う通りかもしれねぇ…あんなにうるさかった心臓の音が静かになって……力が抜けてく…)
歌と共に一心の体温と匂い…そして優しく背中を摩る手つきに俺はいつの間にか眠っていた。