第12章 爆豪日和?!
爆豪side
ただ身体が勝手に動いてた。
こいつの笑い方が辛そうだった。
いつもの笑い方じゃなかった。
これ以上作り笑いを見たくなかった。
「「……………。」」
何を喋るでもなくただただ抱きしめていると、一心はモゾモゾと身体を動かし、俺にさらに密着し背中に腕を回してきた。
一心の匂いと体温が伝わってくる。
「……ッ!」
一心はギュッとさらに力を入れて俺を抱きしめる。
俺の体温が上がり、心臓の動きが早くなるのを感じた。
(クッソ!俺から抱きしめたはずなのに…なんで俺がこんなに動揺しとんだ?!)
「……ッ?!」
コイツは俺のそんな気持ちをお構い無しに俺の首に顔を埋めてきた。
(やべぇ…色々とやばいだろがそれは!!)
自分から抱きしめたはずなのに俺は一心を引き剥がそうと引っ張ったがビクとも動かなかった。
「……ッ!てめぇ…離」
「待って、大人しくして」
耳元でいつもより低い真剣な声で一心にそう言われ背筋にゾクゾクとした感覚が走る。
その直後スンスンッと匂いを嗅ぐ音が聞こえた。
「ちょ?!何嗅いでんだよ!!」
それでもスンスンッとしつこく匂いを嗅いでくる一心
「おいこらやめろって言ってんだろ?!変態かてめぇ!!」
再び暴れようとした所で一心はバッ!と身体を離した。そして、何度か大きな目を瞬きさせキラキラとした目で見つめてきた。
俺は頭が追いつかずただ見つめ返した。
「匂い…爆豪の匂い…凄い落ち着いた…。
なんかすげぇ懐かしい気持ちになった……
……良い匂いだな」
「……!!」
俺の脳裏に懐かしい記憶が蘇った
『ん〜…爆豪って良い匂いだな…。
……ッ!!イ”ダ”ダ”ダ”ダ”!”!”ご”め”ん”ご”め”ん”!”!”』
『……ん?俺の嗅覚なめんなよバァカ!』
(そう言って笑うコイツの顔はとびきり輝いてて…目が離せなかった…)
一心は再び顔を近付けスンスンッと匂いを嗅いできた。
俺はそこで我に帰り、一心の顔を片手でグイッと押し返した。
「何してんだてめぇ!!変態そのものじゃねぇか!!スンスンスンスン人の匂い嗅ぎやがって犬かてめぇは!!自分が何してんのか分かってんのかコラ!!」
「ご”め”ん”!”!”つ”い”懐”か”し”く”感”じ”て”!”!”」
一心は俺から腕を離した。それと共に俺も一心から距離をとる。