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【短編集】切ない恋もそこまでに

第9章 #09 縄とあなたと私


ザッ、ザッと土を踏む音しか私には聞こえない

君はどうだろう

周りの音を拾えるほど、自信はあるのかな

少なくとも私には無い

時々下を向いて、前を向いて

視界の端に映るあなたを

何も思わなくなった



これは無関心か、恐怖か、諦めか



まだこの1歩だけじゃ分からない

困ったような顔が、笑った顔が、私を見る顔が、その優しさが、好きなはず



好きなはずなのよ



ただの緊張に変わってしまえばもうその気持ちも変わってしまう

違うと否定して、私を否定して、あなたを否定して。

答えは導き出されない

導かれるまま、この身を任せるといつの日か誓ったはずなのに

今は前が真っ暗で進もうにも、進めない

戻ろうにも、戻れない

行き場を失って、残ったのは好きという言葉とそれを否定する私



何が私か分からない



縛られるだけで、こんなにも苦しい





もういらない、と簡単に言えない縛りが





苦しい
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