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オニオンスープ

第9章 8杯目


 「さすがラギー先輩」
 「写真館のバイトって言ってたかなー。偶々入ってたみたいで」
 「へぇ」

 物欲しげに見てる。
 ね、オレのことそんなに好き?

 「この写真、ほしい?」
 「え?」
 「ラギー君にこのあと頼むのかなって思って」

 試すように聞けば、ちょっと気に食わない返事。
 図星だってわかってたけど。

 「な、なんでそれを」
 「監督生ちゃんのことなら、分かるよ。なんとなく」
 「…やめたほうがいいですか?」
 「うん」
 「ですよねぇ…」

 がっかりと肩を落とす彼女にちゃんと"オレだけ"を教えないと。

 「ふふ、」

 オレは気にせず携帯をタップしてて、そのうちピロンっと、彼女の携帯の受信音が鳴る。

 「え、ケイト先輩」

 隣にいるのに?って顔してる。

 「っ!!」
 「こんなのでよければ、オレがあげるし」

 悪戯に彼女の顔を覗き込む。

 ぽんぽんと監督生ちゃんの頭を撫でる。

 「他のやつにメールする口実、簡単に作らせてあげるわけないじゃん」

 オレ、意外と嫉妬深いみたい。
 中庭でのエース君にも、この間のシルバー君の件にも、色々と結構嫉妬してる。

 彼女の目を見つめて、だんだんと近づける距離。

 ギュッと目をつむったのは、彼女の方。

 まだお預け。
 ぴとっと、人差し指を置いたことで彼女が目を開ける。

 「ひゅっ、」

 彼女の喉が鳴る。

 「ふふ、可愛いね」

 指先で唇をなぞる。
 その時不意に思い出した。

 「あー、そうだ。ちょっと待ってね」

 立ち上がって探すのは、彼女に渡そうと思って取っておいた物。

 「どこに置いたっけな……っと、あったあった」

 当たり前のように、彼女の隣に座る。

 「今日のお礼って言うわけでもないけど、」

 口紅に目を奪われてる彼女。

 「軽音部でメイクするっていったら、ヴィル君が試作品結構くれてね?
 監督生ちゃんに似合いそうだったから、貰ってきちゃったんだよね」

 ねぇ、そっちじゃないでしょ。
 口紅ばっかり見ちゃってさ。

 「あげるね」

 遠慮がちな顔。
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