第9章 8杯目
やっと終わった4時間目。
お昼休憩となった瞬間に携帯をいじり始める。
「何見てんだよ?さっさと食堂行こうぜ」
「1時間目3年生が、飛行訓練やってたでしょ?写真撮れなかったから、マジカメに誰か投稿してくれてないかなって」
「懲りないねぇ、お前も。本物見に行きゃいいじゃん、早く行こうぜ」
「たしかに、デュースとグリム」
「もう行った」
「薄情か」
「オレが先に行けって言ったの。席取ってて貰わないとじゃん?」
と、頭の上で腕を組んでる。
「さすがエース、次男味あるわ」
「か、どうかは分からないけど」
昼休みとだけあってザワザワする廊下で、
「っていうかさ、」
爆弾発言をしたのはエース。
「昨日、ケイト先輩の部屋行ったんでしょ?」
その瞬間、ぶぅああっと顔が熱くなる。
昨日のは、どこまでが夢?
「ら、ラーメンをですね」
「は?ラーメン?」
「ラーメン作る約束してたから、それを守った?だけ…デス」
「そんで?」
「え?!そ、それで、まぁ…えっと、写真?貰ってデスね、」
「なんの写真」
ワタワタと携帯を取り出し、コレと、見せるのは昨日貰った写真。
「…オレ、コレ見てなんで答えればいい?」
「普通にかっこいいって言えば良くない?」
「オレのバスケやってる時の方カッコよくない?」
と、その言葉で我に帰る。
「それも普通にかっこいいけど、ケイト先輩は言葉を超越してるぎがんとかわかっこいいから」
「ごめんごめん、何語それ?」
「母国語ですけど」
「ぎ?なに?」
「ぎがんとかわかっこいい、ごめん、エース。母国語じゃなくて死語だわ。
まぁ、なんでもいいんだけど、やばくない?」
ズイズイっとエースにその画面をまざまざと見せつける。
「この憂を帯びた目。
先輩を照らすスポットライトにひかる首筋の汗。
もういっそのことその腕に収まる、ギターにでもなりたい。
っていうか、マイクでもよくない?
吐息浴びまくりかよって、話。待ち受けにしとこ」
ジト目って多分このこと。
エースの視線が痛い。
「なに、エースこのスペシャルやばい国宝級SSRのケイト先輩がほしいの?そんなもの欲しげな顔しても、あげないけどね」
「めっちゃいらないけど、なんでだろうな。イラッとしたわ」