第9章 8杯目
「ならよし、…じゃねーんだよ!なんだこの茶番!心配して損した!腹減ったから飯」
そう言いつつ、ズカズカとオンボロ寮に入ってくエース。
「亭主関白がすぎん?まぁいいけど、デュースもご飯食べてくよね?」
「うん、ありがとう。朝からお腹ぺこぺこだったんだ」
お腹ぺこぺこは可愛いがすぎん?
「デュースってそう言うとこあるよね」
「なにがだ?」
「わかんないならいいよ、変わらないでいてね」
「?」
デュースとリビングに行くと、ゴースト達が気を利かせて作ってくれた朝食をグリムと競って食べてるエース。
「監督生、なくなんぞ」
主にエース、お前のせいでなって言葉は、飲み込む。
賑やかな食卓に、前にいた世界を思い出す。
「ほら、目玉焼きキミ抜き」
「それもう白身焼きじゃん。目玉じゃないじゃん」
「グリムが食ったんだよ」
そしてその賑やかさに、
私はすっかり忘れていたのだ。
昨日の夜のことを。
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「ほら、監督生遅れるぞ!早くしろよ」
「グリムとエースがいつまでも食べてるから悪いんでしょ!」
両手にエーデュース、首にはグリム。
「楽ちんなんだゾ」
「私ちっとも楽じゃない!」
足の速い2人にひきづられるように、だけど必死に足を動かす。
足の短いグリムは、絶対ついていけないからと、はなから諦め私にからみついていた。
足の短いは、意図的な悪口である。
地味にグリムは重いのだ。
まぁ、そんなグリム付きの私の手を引く2人は、もっと辛いと思うのだが。
「遅刻したら寮長がヤベェ」
うちの寮に長はいないけど。
2人のおかげで、始業5分前にクラスについた私たち。
とっくに他の生徒達は自分の席に着いていた。
「チクショー、1番前かよ」
「授業ちゃんと聞けるし良いじゃないか」
「さすがデュースいい子」
「寝れないんだゾ」
「授業はちゃんと起きてよう、グリム」
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1時間目はトレイン先生の座学。
外では3年生が飛行訓練をしてる。
たしかに、1番前じゃ写真撮れないな…
と、真面目に受けるデュースを横目に思ってた。
仕方なく1時間集中して受け、終わった授業。