第9章 8杯目
翌朝、目が覚めたのはオンボロ寮の自室。
「…っ!」
当たり前だけど、ケイト先輩は居ない。
ゆめ?
夢かぁ…。
思い出すだけで、顔が熱くなる。
「ぐりむぅ…」
限界すぎる。
限界すぎてグリムで癒されたい。
だけどこんな時に限っていない。
「監督生〜、朝だよ〜。グリちゃんはもうとっくに起きてるよ〜」
ドアの向こうで、ゴーストたちの声がする。
「い、今行く!」
リビングに行くと、グリムは見覚えのない高級ツナ缶をたべていた。
「おはよ、グリム。それどーしたの?」
「秘密なんだゾ。監督生も食べるカ?」
「いいよ、いいよ。大丈夫」
「ま、やるつもりないけどナ」
「いま、かっちんと来たからお仕置き〜!」
と、戯れているとピンポーンとチャイムが鳴った。
「はーい」
その音に慌ててでると、
「おはよう監督生、お前大丈夫か?」
と、割とガチで心配そうにきたのは、マブダチのエース。
「おはようエース。って、何が?大丈夫だけど?」
「エース、ちょっと待てよ。ったく、おはよう、監督生」
「うん、おはよ。デュース」
「あー、いや、なんでもない。大丈夫ならいいんだ」
「変なエース」
「そうなんだよ、朝起きたらぶつぶつ言いながらエースがベットに座ってて、着替えたそばからバタバタ走ってくから、何があったのかと思って俺もついてきたんだ」
「エースぶつぶつ言ってたんだ」
「うるせぇよ、ったく。昨日あんなことがあったから」
「あんなことって?」
「とにかく!お前は危機感がなさすぎる。オレたちがずっと一緒って訳じゃないんだから、もうちょっとどうにかしろ!わかったら返事!」
ビシッと指を指してくるえーすの人差し指を掴む。
「その前に人に指を指してはいけません」
「って、そうだけどそうじゃない!」
「ふ、俺、監督生のそういうとこ嫌いじゃない」
「私もデュースの笑った顔好きだ」
「なっ」
「あと、照れるところも可愛いと思います。ね、エース」
「オレは?」
「エースも可愛い」