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オニオンスープ

第8章 7杯目


 「っていうか、ケイト先輩分身とくとトランプになるの?」
 「仕組みはわかんねぇって、個々のユニーク魔法なんだから」

 もう聞く気はないらしい。
 ケータイいじり始めたし。

 「エース頭いいじゃん、教えてよ」
 「別に頭良くないでしょ。わかんねぇって」
 「満更でもないくせに。エースにわかんないなら、私もっとわかんないよ」
 「だから、本人に聞けって」

 こんな愚痴こっちだって聞かせて申し訳ないとは思うけど、意外とエースは聞き上手だから、つい。

 「だって、きまづいんだもん。私足挫いて、シルバー先輩に運搬されただけなのに」
 「運搬って言い方、」
 「なんか、いつものケイト先輩じゃないんだもん。エース達はいいよね、同じ寮で毎日顔合わせてさ。
 いっそのこと私も転寮したい」
 「同じ寮だからって、毎日顔合わせるわけじゃないし、なんかお前めんどくせぇ」

 ケータイをポッケにしまったエース。

 「ごめん」
 「いいけどさ、監督生がそうやって最大限めんどくさくなるの、オレの前だけじゃん」
 「そうかな」
 「そうだよ、だから許してやる。ケイト先輩についてって言うのが気に食わないけど」
 「じゃあ、誰のことならいいの?」
 「…………オレのこととかで、悩めば」
 「それはいつものことじゃん」

 そういうと、パッと目があった。

 「例えば?」
 「グリムと一緒にやらかすじゃん、君たちは。だから、いっつも頭悩ませてるよ」
 「期待して損した。話聞いてやったのに」
 「なんかごめん?」
 「ねぇ、そのトランプオレに貸して?」
 「え、…うん」
 「よく見ててよ」

 エースの1-2-3と言う掛け声で、ポンっと白い薔薇に変わったケイト先輩のカード(仮)。

 「はい」
 「どいうこと?」
 「きまづいなら、オレから返しとく。その代わりにやるよ、その薔薇」
 「どうして白なの?」
 「赤い薔薇だとオフられるだろ、」

 と、首を指差す。

 「この間、一輪折っちゃったんだよね。かわいそうだから、枯れないように魔法かけてたんだけど、男のオレがもっててもさ。
 それに、赤い薔薇だと重いだろうし」

 誤魔化すように早口で言ったエース。

 どうして耳、赤いんだろう。

 「ありがと、エース」
 「おう、…あー、今日お前も来るんだろ?トレイ先輩のケーキの試食」
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