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オニオンスープ

第7章 6杯目


 エースたちのやり取りを見ていたせいで、変にビクッとしてしまった。

 「…え?あ、…いや」

 しどろもどろになってしまったのは、昨日のせい。

 脳裏に浮かんだのは、ラギー先輩の言葉。
 昨日のトランプ、エースの仕業じゃないって言ってた。

 「あ、えー……っと、」

 じゃあ、ケイト先輩のイタズラなの?

 なんて、聞けるわけもない。
 だって、…。

 タイミングよくなった、学校のチャイム。

 「そろそろ時間だ。行くよ、2人とも。
 エース、デュース、監督生、グリムも授業に遅れるんじゃないよ?
 遅れたら…おわかりだね?」
 「うすっ」
 「はーい」

 そのチャイムが、助け船だと思った。
 先輩たちの背中を見送る。

 「…おーい、監督生ちゃん?」
 「なに、トラッポラくん」
 「苗字呼びとか距離を感じる〜。なぁ、デュース、グリム?」
 「ふなぁ〜」
 「そうか?」
 「グリム、眠いんだよね?昨日おそかったから」
 「だって、監督生の帰りが遅かったんだゾ」
 「違うでしょ。私にかこつけて、夜遅くまでDVD見てたの誰だっけ?」

 デュースによって抱き締められてる?いや、抱えられてるグリムがむーんっとする。

 かわいい。

 「え?なに、お前また朝帰りだったの?」
 「言い方あるよね?…まったく。
 違うよ、ぜんぜん日付超える前に帰ったし。って、忘れてた、昨日サボっちゃってごめんね?」
 「あー!!そーだよ、お前サボったんじゃん!!」
 「まぁでも、お前は…、監督生はいつも俺らのフォローしてくれるし、たまには良いんじゃないか?」
 「デュースは、監督生に甘いんだよ」
 「とはいえ、先生にバレないようにするのは大変だった」
 「ふなぁ」
 「ごめんね、デュース」
 「え?オレは??扱いひどくね?」

 …エースも可愛い。

 「ごめんごめん。
 でも、ある意味しっかり罰は受けたので」
 「どういうことだ?」

 そのあとちゃっかり、ご褒美だったけど。

 「ケイト先輩のオレ君がさ、…って、そろそろ時間やばくない?」
 「げー!オレ今日も掃除とか嫌なんですけど!!」
 「オレ様もいやなんだゾ!」
 「早く行くぞ!」

 オレ君のこと、さっき聞けば良かったのに。
 どうして口に出せなかったんだろう…。

 なんて。
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