第7章 6杯目
「なんです?」
「オレは面倒ごとはごめんなんで、自分で考えてくださいね」
「この間、ラギー先輩の代わりにレオナ先輩の面倒みさせられたんですけど」
「授業連れてかなかったっすよね?」
うぅっと、さらに口を尖らせる。
「だってあれは俵担ぎされて、枕にされたんですよ?動けないに決まってるじゃないですか」
「…………………アンタって、なんていうか無防備をこえてるよね。そんなんじゃ、すぐ食われちまうっすよ?」
「枕にされた話で、エサの話じゃないんですけど」
ぽんぽんと撫でられた頭。
「DKマジでわからん。ラギー先輩のこの手の意味もわからん。わからなすぎて、お腹減ってきました!」
「オレは、アンタの方が分かんないっす…じゃあ、こうしません?今からオレの手伝いしてくれるなら、すこーしだけ飯分けてやるっすよ、それからさっきのも」
「え?さっきの悪戯ラギー先輩だったんですか?エースじゃなくて?」
「…馬鹿すぎて話になりませんね。オレがするわけないでしょ、
とにかく、オレのこと手伝う?手伝わない?」
「ラギー先輩のご飯にありつけるなら、手伝いますけど!バカすぎは酷くないですか?あ、ちょっと」
「レオナさんが、不機嫌になると面倒なんで。急ぐっす」
パシっと掴まれた腕。
駆け出す足に、もつれる私。
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ーーー
ー…獣人の、しかもハイエナの足に追いつくはずも無く。
「殺す気です、はぁっ…か!!」
息は切れるし、昨日怪我した足は痛いし。
「何してやがる」
「監督生くん、昨日グリム君のこと探してる途中で怪我したらしいっす」
「再発したのは、ラギー先輩が爆速で走ったせいですけどね?!テーピングで少しよくなってたのに!!」
「息切れ直ってよかったっすね。オレは飯の用意してくるので、レオナさんの部屋掃除してて欲しいっす」
「掃除はいい。枕になれ」
「枕って、私は人間なんですけど!っていうか、枕あるじゃないですか!ふかふかのがここに!!」
「ギャンギャンうるせぇ。騒ぐな」
そう言って手をしゃらんとした彼は、枕になれと言っておいてごろんと優雅に寝始めた。
「しししっ、監督生くん、足どう?」
「え?」
「レオナさんも優しいっすねぇ」
「ラギー、飯持ってこい」
「ハ〜イ」