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オニオンスープ

第5章 4杯目


 「ケイト!」

 終わった…。

 「…ハーイ。じゃあ、そろそろ行こっか。リドルくん、トレイくん。」
 「全く」

 先に行ってしまったケイト先輩の背中をただ眺めながら、ため息をつくトレイ先輩

 「君たちも、授業におくれるんじゃないよ。もしもの時は………おわかりだね?」

 何事もなかったかのように、リドル先輩が言う。

 「その前に、これ外してくださいよ」
 「あぁ、すまない」

 枷が外れても、すごく体が重い。

 「監督生も気にするなよ、アイツの虫の居所が悪い時もあるさ」

 ポンと私の肩を一つ叩いて、まるで嵐のように去って行った先輩たちの背中。

 「……」
 「…」
 「なぁ、シルバー先輩にお姫様抱っこされて帰ってきたのはわかったんだが、それが、ダイヤモンド先輩の虫の居所と監督生の気落ちしてるのと、どう繋がるんだ」

 開口一番、傷口に塩を塗るどころか揉み込んでくる、デュース。

 「え?お前ほんとに言ってる?」
 「オレ様でもわかったんだぞ。」

 そんなエースとグリムの言葉に、

 え?グリムほんとにこの状況わかってる?と思った私は多分ひどい。

 「好意を持ってる相手が抱かれていたんなら、奪い返せば良いじゃないか。俺ならそうする。」
 「…………鋭いんだか、そうじゃないんだか、わかんないねお前。」

 呆れてため息をついたエースに、ポンっと肩を叩かれる。
 デュースに言いたい。

 「デュース君、例えば、私が行方不明になったケイト先輩を探しに行くとしよう。
 そこで、知らない女に抱き抱えられてるケイト先輩を見たとしよう」

 想像するだけで、吐き気がする。
 もうしんどい。
 誰かに抱かれるケイト先輩、しんどい。

 「…私は発狂すると思う。相手の女を血の果てまで追いかけ、末代まで呪うと思う」
 「お、おう」

 あからさまに引いてる、背の高いデュースの肩を持って思い切り揺さぶってやる。

 「だけど!ケイト先輩が、シルバー先輩に抱っこされてる私を見ても何にもしなかったってことはそう言うことなの!
 嫌がるどころか、マジカメに乗せたいって!お似合いっていってくるんだよ?!
 この意味わかってる?!」

 自分で言ってて悲しくなってきた。

 がくんと膝から崩れ落ち、そのままデュースの脚にしがみつく。
 全く逞しい足してやがるぜ。
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