第4章 3杯目
でも、山での遭遇率高いのはジェイド先輩だしなぁ。
オクタの3人を描いたところで、全然似てねぇ!って爆笑するフロイド先輩の顔も容易に想像出来てしまった。
ジャミル先輩、カリム先輩、オルトくん、イデア先輩…。
エペル君、ルーク先輩、ビル先輩…
『いいこと?コジャガ。私の名前はヴィル、もう一度。言えるまで帰さないわよ。』
って、………想像だけで、げんなりしちゃった。
だいたい、ウに濁点つけて小ちゃいィって、どうやって発音すればいいんだ。
やっぱり、大好きな先輩達のうちの1人には違いないけど、こんな体力消耗してる時にレッスンは勘弁。
ってなると、セベクも若様って声量すごいから今日は勘弁。
リリア先輩、シルバー先輩、ツノ太郎…。
「はーつらびる、まだ描いてなかった」
ほんとにこの学園の寮の名前、全部言いにくい。
そもそもカタカナって苦手だ。
「エースに、デュースに、リドル先輩…トレイ先輩に、…」
って言うところで、力尽きる。
全くもって、不毛だった。
ちなみにカタカナが苦手な私が、マブであるデュースの名前だけ発音できるのには理由がある。
…のだが、それはまたの機会に取っておこう。
そんなことより、硬めの土に書いていたせいで手が疲れた。
心なしか足も痛い。
ドサッ
と、寝転がったタイミングで、辺りが暗くなりつつあるのが分かる。
「そろそろやばいかなー、」
それもこれも、ぜーんぶグリムのせいだ。
「あした、最後の一個のツナ缶、目の前で一人で食べてやろ」
ごろんと、寝返りを打つ。
誰かからメール来てたら、その人に連絡しよう。
そろそろ、部活も終わる頃だろうし。
と、ケータイを開いたところで、誰からの連絡もないことにきづく。
「え、あまりにも、ぼっち…」
一人くらい、同級生メールくれてても良くない?
異世界からきた、我に優しさくれても良くない?
「マブ達のばかやろー!」
相変わらずの『送信できません』に、これからを想像する。
最悪、ここで一晩明かすしかない?
虫でないなら、いいけど。