第3章 2杯目
「ところで、このスープはどちらで習ったんです?」
「母の味ですよ。向こうでよく作ってたんです、」
「ほう…料理上手なお母様だったんですね?」
「どうかな、…ふふ。もう空」
「すみません、燃費が悪いもので」
お淑やかに口を拭いて、にっこりと笑って見せた先輩。
「エースさんや、デュースさんにも作られるんですか?」
「あー、まぁ泊まりに来た時はご飯作るけど、コンソメスープはないかもなぁ。
ほら、賄いはコスト抑えてってアズール先輩言うじゃないですか?
エーデュース達は育ち盛りだし、なんだかんだ材料持ち寄ってくれるから、ベースはコンソメで作っても、具材があるのでこのシンプルなコンソメスープである必要がないんですよね」
「なるほど」
「あー、でも、」
首を傾げた先輩に、あの日のことを思い出す。
「ケイト先輩には、ご馳走したことありますよ」
「ケイトさん?」
コテンと首を傾げる。
「そういえば、仲がよろしかったですよね?」
「はい。優しい先輩の1人です」
「そうですか」
「はいっ」
にっこりと笑って、火を止める。
「あぁジェイド、こんなところに居たのか」
「えぇ、どうしました?アズール」
「頼んでいた資料は?」
「あなたの机の上に。置いてありませんでしたか?」
「見つからないんだ」
「おやおや」
困りましたねぇと、全く困ってない表情のジェイド先輩。
「そういえば、フロイドが紙飛行機なるものをあなたの机で折っていたような…」
「なんだって?!」
その時、魔法によりバターンッと開いたドア。
そして、ひゅんとアズール先輩の頬を掠めた凶器…。
しゅんっトスッと、壁に突き刺さってる何か。
「2人とも〜いまのみたぁ?ヤバくねぇ??」
ゆらゆらと入ってきた、フロイド先輩。
「あーっ!小エビちゃんだぁっ」
くぱぁっと、にっこり笑って突進してくる。
そしてそれを交わす私。
「なんで逃げるんだよ?」
どすの利いた声に、さらにドスを効かせるアズール先輩。
「フロイド、あなた、さっきのはなんですか?」
「えぇ?これぇ?なんかね、紙で折った飛行機っていうやつ。紙の癖してアズールより上手く飛ぶの。ヤバくねぇ?カニちゃんに教えてもらったんだぁ」
何日か前に、マブ達に教えた故郷の遊び。