
第3章 場地圭介(社会人)×千冬の親友ヒロイン(大学生)②

「想像だけでおっ勃ててんじゃねーぞ、ドーテー」
けらけらと指をさしながら楽しそうに言う場地くんにつられて、少しだけ視線をあげる。元カレと連れは顔を赤くしながら、場地くんが言った通りズボンを少し膨らませていた。
「ツーホーされないといいな」
「っ!」
声にならない声をあげ、私たちの前から逃げるようにして去っていった元カレたち。隣で「サツの世話になんなよー」と手を振っている場地くん。君が言うとなぜだかやたら説得力があるのは何ででしょうねえ。元ヤン効果すごい。
「セーセーしたワ」
「私は恥ずかしさで顔から火が出そう」
「全部事実を言っただけだろ」
「じ、事実って……」
「フェラ、気持ちかった」
「──っ」
「もっ回してほしいくらい、な」
耳元で甘くねっとりと囁かれて、思わずぴくりと肩を震わせる。少し右を向けば場地くんの整った顔に熱い視線。目と目が一度合うと、絡まりあった糸のようにほどくことができなくて……その瞳に吸い込まれそうなほどの圧を感じる。
ねえ、場地くん。その言葉を私は素直に受け取ってもいいの?
「なァ」
「うん?」
「飯もいいけど、もっといいとこ行かね?」
「……行き、たい」
意識しなければ聞き逃してしまいそうなほどの声だったが、場地くんにはしっかりと届いていたようで「ん」って声と共に私の手を優しく握りこんでくる。この繋がれた手の汗具合を場地くんにバレたくないなあ、なんて思うも離してくれそうにはないので、これ以上私の手汗が出ないことを祈る他ない。
「こないだよりもっと気持ちよくしてやるよ」
「えっ、こないだよりも気持ちよくなれるの?」
「ふはっ、ヤラシー」
「あ、いや、ちがっ」
「そんなちゃんも好きだけどな」
女慣れしてるんだろうな。そう思わずにはいられない場地くんの手のひらで転がされている私は、なんて滑稽なんだろう。
だって気になるんだもん。この間でも相当気持ちいいと感じたのに、それより更に気持ちよくなれるだなんて……どんだけ気持ちいいんだろう。ああ、場地くんのせいで私はおかしくなってしまった。こんなことばかり考えてるなんて知られたら、きっとドン引きされてしまう。
チカチカと光るネオンに圧倒される中、無人の受付で慣れたようにチェックインを済ます場地くんはやっぱりいろいろと慣れているご様子。そりゃうまいわけよ。
