第2章 場地圭介(社会人)×千冬の幼馴染みヒロイン(大学生)①
与えられる快感を一身に受け、自分の口許を両手で抑えながらなんとかやり過ごす私とは正反対の表情だ。
「まだかかんの? いや、別にいいぜ。猫と遊んでるからよ」
その猫が私だと言うことは言わずもがな、だろう。
「店出るときにもっ回連絡くれ。おーまたあとでな」
ピッと機械的な音が聞こえたのと同時に、場地くんは投げ捨てるようにソファへとスマホを飛ばす。その間も休まることなく動いている手は、ぐちょぐちょといやらしく私の体だけでは飽きたらず、聴覚までもを犯していた。
どんどん声を抑えるのがツラくなってきた私の口からあっあっと小さな鳴き声が漏れたのが合図だったかのごとく、場地くんはいきなり私のナカに入れていた指を折り曲げ、上の方を執拗に擦りあげた。思ってもみない刺激に体がびくりと跳ね、だらしのない声が辺りに響く。
「あっ、ああ! やぁ……んあっ!」
「千冬に声聞かれるかもと思ったら興奮したか?」
「ちがっ!」
「思ったより変態なんじゃねーの? ちゃん」
「そ、んなこと──」
「ないって言えんの? こんな可愛く喘いでンのに?」
「んう、アッ! ま、そこ! やだ!」
「ここがイイんだろ? すぐイかせてやるよ」
「待って! 待ッ、──ンあああ!」
オラッ、イけ!
粗暴な台詞を吐いた口は楽しそうに歪み、狩りをしているかのようにギラギラとした目に見つめながら……私は背中を弓なりにのけ反らせながら体をびくびくと震わせた。焦点の合わない眼差しで天井を見上げながら、少し遅れて自分が達したのだということを理解する。こんなの……体がいくつあっても足りないよ……。
はあはあと大きく呼吸を整えながら、私は味わったことのない脱力感をこの身に感じながら視線だけを場地くんの方へと向ける。すると得意気な顔をした彼と目があって、悪戯が成功した子どものようににっと笑って「やっぱ元カレが下手くそってだけだったな」と言ってのけた。
正直、彼が下手かどうかはわからないけれど場地くんが上手すぎる説はあると思う。