第2章 場地圭介(社会人)×千冬の幼馴染みヒロイン(大学生)①
「えっと……」
「おう」
「どういう、意味?」
「そのまんま。俺がちゃんをイカせられたら、他の男が下手くそだったってだけだろ?」
「まあ、うん。そうなるのかな?」
「だから試してみようぜ」
「いや、だから、何を──」
「俺とシてみねェ? チンコは入れないからよ」
初めてだ、こんなムードもへったくれもなく誘われたの。そんなことを頭の片隅で思いながら「いやー……」と曖昧な返事をする。私と場地くんが? セックス? わたしの幼馴染みの親友と私がセックス? 本番はしないと言えど。
どう考えてもうんとはすぐに言えない状況──だけど、ここですぐにいいえと言わない私も私かもしれないけれど。何をちょっと期待しちゃっているんだか。
「ダメだよ。好きな人とそういうことはシなきゃ」
「でも気持ちよくなってみたくねーか?」
「そ、れは……」
「オナニーで濡れンの?」
「濡れたこと、ない」
「嫌になったら途中で止めてやるから」
「……ほんと?」
頭の中でたくさんのダメな理由を並べてみたものの、好奇心の方が勝ってしまった私は場地くんの様子を窺うように覗き見る。ふっ、と鼻で笑った圭介くんは猫の喉を撫でるように私の顎をこしょこしょと指で触って楽しそう。
確かに場地くんって経験豊富そうだし、口も固いから安心してお願いできる稀少な存在なのかもしれない。……頼んでみてもいい、のかな。
「……場地くんは嫌じゃないの?」
「ン?」
「私とその……えっちするの、嫌じゃないのかなって……思って」
「全然?」
「え、疑問系?」
「まっ、ちゃんはンなこと気にしなくていーから」
「いや、気にな──わっ!」
いきなり脇の下を掴まれたかと思うと、ふわっと抱き上げられ……場地くんの膝の上を跨ぐようにして下ろされる。向き合う形で座れば、場地くんの整った顔がまっすぐとこちらを向いていて……何だか急に恥ずかしくなってきた。今までの彼氏にこんなイケメンだった人いないし。
弧を描く口元があまりにも楽しそうで……もしかしたら、私をイかせられるかどうかをゲーム感覚で楽しんでいるんじゃないか。そう思うとどこかスッキリと心の準備ができる気がした。きっと物は試しくらいの気持ちなんだろうな、場地くんにとっては。