第1章 ドフラミンゴの女
は生きることを諦めていた。
本当だったら母と一緒に死んでいた。
島を襲った海賊。海賊とは怖いものだと言うのは母から言い聞かされていた。
だから夜は絶対に外に出なかった。地下室で朝まで過ごした。
それなのに、朝外に出たら〖すべてが崩れ去っていた〗立ち上がる煙。なんとも言えない匂い。
そんな光景の中に居たら心が壊れるのも訳がなかった。
【死にたい。でも、死ぬのもわい】
ただその気持ちだけで、生きていた。
そしてドフラミンゴに拾われた。一体なんの気まぐれなのだろう。でもまだ死なないですむようだ。
ドフラミンゴファミリーで暮らしてからしばらく経ったある日。
ローがドフラミンゴに呼ばれた。
「ローお前を正式にドンキホーテファミリーの一員に迎える事にした。」
「!」
ローは、ドフラミンゴに認められたらしい。
というか、こんな暫く居たのに一員ではなかったんだ…
10年後右腕になるようにすると言った。
【ローは死なないですむかもしれないんだ】
少し嬉しかった。
どうせ死ぬと言う彼は、どうしようもなく私の胸を締め付ける。
【勝手だな。私は死んでもいいって思ってるのにローには死んで欲しくないって思ってる】
その場は解散になったので、外の空気でも吸おうとすると、コラソンが変な歩き方で奥の部屋に入っていった。
「?」
なんだか、凄く気になって追いかけた。
「!!!」
部屋を覗くとコラソンが胸の当たりから血を出していた。
私が部屋に来たことに気がついたのかビックリした顔をしてこちらを見る。
コラソンの前に回り込むと消毒液と包帯を持っていた。
【嘘でしょ、なにこれ】
「…!」
コラソンはびっくりした顔を引っ込めると黙々と消毒し始める。
絶対に痛いはずなのに。
痛いでしょ!絶対に!
どうしようかとアタフタしてるとコラソンが包帯を渡してきた。
巻けってこと事かな…
「ん?コラソンどうした?その傷」
ドフラミンゴが声をかけてくる。
〖てき〗と書いた紙をドフラミンゴに見せる。
モタモタしながら包帯を巻き終わると、手に着いた血をみてフラフラしながらドフラミンゴの元へ向かう。
その時、ローと鉢合わせる。彼も見ていたのだろうか?医者の心得があるなら変わってくれればよかったのに。