第9章 彼を知る人
お前もいっぱい食え!と言われて、ルフィさんにお肉を差し出されるがそこまで食は太くなくて隅に避けられたパンを齧る。
「肉食わねぇのか?」
「いや…寝起きに肉はちょっと…」
もぐもぐ食べるルフィさんに感動を覚える。
本当にすごいなこの人。
と、そこへ黄緑色の髪の毛の男の人がやって来る。
「ルフィ先輩!海軍が増えてきただっぺぇ!」
どこの訛りなのか聞いた事はないけどもなんだか懐かしいような喋り方をする人だった。
ルフィさんは気に留める事なくもぐもぐお肉を食べている。
「あ!トラファルガーおめぇ!なんでルフィ先輩達と一緒に居るんだっぺ!
羨ましいだべ!」
ギロリとローを睨んでくる。
よく見たら、なかなか怖い顔をしてるため、ローの隣にいる私が肩をびくりと跳ねらせる。
「お前…」
びっくりしたのがローにも伝わったのか、呆れた顔をされる。
いや、ローが私をどう評価してるのか知らないけど、怒った時のローの顔だって怖いと思うのに、この黄緑色の人だって顔は怖いと、思う。うん
「いや、うん。なんかごめん。」
ちびちびと、パンをかじりながら話を聞くとこの国に海軍がどんどん増えてきているということだった。
それと一緒に、この国の王女様の話にもなる。
キュロスという王女レベッカの父は出自がよくないらしく、父親として身を引くというのだ。
これから復興に忙しくなるこの国を支えていくという時期にこんな父親では…というキュロスの思いから…らしい。
父親というものにピンと来ないので、そんなもんなのかな?と思いながらパンを食べ終えて水を飲む。
ルフィさんはなんとも、言えない顔をしている。
私と違って思うところがあるのかもしれない。
優しいルフィさんらしいな、なんて思う。そんな優しい彼だからこそ縁もゆかりも無いこの国を救えたのだろう。
「ね、ローの船ってどういうのなの?」
海賊と言うからには船があるのだろうけどそういえば、クルーの話もまだ聞いてない。
どんな海賊団なのだろうか。
「うちの船は…」
「トラファルガーの船は潜水艦だべ!珍しいんだけんども目立ちたがり屋のお前らしいっぺな!」
ローに被せて黄緑の人が教えてくれる。
この人はローに対抗心のようなものがあるのか、ちょいちょい語気強めで話してくる。
ルフィさんのことは慕っているようなので何かしたのかななんて思ってしまう。
