第9章 彼を知る人
気がつくと、皆んなは既に起きていたようでテーブルの上にある食糧を食べていた。
「おはよう…」
「お前よく寝るなぁ。流石にびっくりしたぞ。」
物凄い勢いでお肉を食べながら声を掛けてくれる麦わらのルフィ。
みんなも同じ事を思ったのかローまでじっと見てくる。
「あ、えっと。昔からなの過眠症?ってやつ。」
「ガキの頃はそんな事無かったよな。」
「うん、ここ10年かな。起こせば起きるから、大丈夫。」
これは、病気とかでは無い。
重度のストレスからくるものだと以前医者からは言われた。
もともとストレスには弱いのかもしれない。
10年と聞いてローの顔が少し曇る。
「…あのね、ドフラミンゴだけのせいじゃ無いよ?私の脳って特殊?らしくてそっちの方が原因みたい。」
「俺が調べるか?」
「違う違う!病気とかじゃ無いの」
じゃあなんなんだ、と不満そうな顔をされる。
「えっとね、瞬間記憶能力って知ってる?カメラアイとも言われてるみたいなんだけど」
「なんだぁ?それ、モグモグ…」
「えーっと…簡単に言うと、一度見たものは忘れないんです。」
「すげぇーな!おれなんてすぐ忘れるぞ!モグモグ」
「食うか喋るかどっちかにしろ!」
「すごいもんか、お前それドフラミンゴも知ってたのか?」
「うん、拾われたばっかりの頃教えた…」
「あいつ、知っててわざとお前にコラさんへの引き金をひかせたのか。」
「トラ男〜どう言う事だ?」
「瞬間記憶能力ってのは、どんな事でも覚えられる。そこがメリットだ。だがどんなに嫌な事でも忘れる事が出来ない。それがデメリットだ。」
「嫌な事もか?それは嫌だな。」
「実際、ふとしたきっかけでトラウマが蘇り社会生活を送る事が困難になる奴もいる。現にの寝すぎもそれが原因だろう。」
さすが、お医者様。
全てを説明しなくても理解してくれる。
そう、どんなに嫌な事でも忘れる事が出来ない。
ふとした事で蘇ってくる。
「便利な事もあるよ?人の顔と名前は忘れないし。本も一度読めば忘れないし。」
「逆に鮮明過ぎてキツイ時もあるだろ。」
「……うん。」
微妙な顔をするローとは対照的に
なんかよくわかんねぇけど、すげぇな!
って麦わらさんは笑い飛ばしてくれた。