第8章 見つめ直す過去
「コラさんの力を人を傷つけたり絶望させたり、そんな事に使って欲しくなかったから…」
「そうだな…」
あの日雪の降る島であの時ローは-凪-カームで音を消され宝箱に隠された。それはとても大切なものを守る為の魔法のように…そしてローは無事に逃げる事が出来た。
同じような事がにもあったのだろうか?コラさんの力で守ってもらった事が…
「13年…よく無事だったな。」
「…色々あったけどね。でも絶対に心だけは囚われないようにしてた。カラダはいくらでも好きにさせたけどね。ローは?大変だったんじゃない?珀鉛病もあったでしょ?オペオペで治ったって言うこと??」
「そうだ。医者では治せないが、オペオペの実と医療の知識を持ったおれには出来た。」
あの日世界に絶望した男の子は清々しい目をした青年になっていた。
その目は真っ直ぐに私の目を見つめる。
「頑張ったんだね。トレーボルを倒したのはローなんでしょ?ヴィオラに聞いた。ヴェルゴも…」
ほかのファミリーもベビー5以外はみんな誰かしらに倒され、おそらく今頃海軍に捕まったはずだ。
「ローは凄いなぁ…」
「お前もすげぇよ。あんな環境でよく壊れなかったな」
そう。そこだ。
あんな悪魔が人の皮を被ったような男に10年も弄ばれたのだ、よく精神が持ったものだ。
「きっと、拾われたばかりの私だったら無理だったと思う。コラさんと関わった2年半が私を踏みとどまらせたんだと思う。私が居るだけで私のような女の人を減らせるならって耐えたの…アイツ、私が嫉妬したふりすると喜んでたし。
でも…ぐすっ」
ポロポロと涙が溢れて止まらない。
嫌だった
触れられたくなかった
やめて欲しい
何度も心の中で叫んだけど叶うことは無かった思いが、堰を切ったように溢れて止まらない。
「よく耐えたな」
を抱きしめる。
自分と同い年だが、自分より遥かに小さい子の身体で一体どれだけ一方的に欲をぶつけられてきたのだろう。
男の自分には想像するも、きっとそれよりもずっとずっと辛かったに違いない。
「ろぉ…ごめん、も、泣かないって決めたのに…うぅ…」
「いいから、一回思い切り吐き出しとけ。」
「うわぁぁぁん…!!!」
10年分の涙を、ローは黙って受け止める事にした。