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心の無い人形

第4章 大切な思い出


それは私の心の中にしまっておいた大切な記憶。



あれはまだ、ドンキホーテファミリーに入って半年もしない頃。
私はまだ声が出なくて、周りの人ともうまくコミュニケーションが取れていなかった。

ベビー5とバッファローとはそれなりに仲良くしてたけど、ローとはそこまで仲が良かったわけじゃなかった。

みんな日々訓練したり勉強したりあそんでいたころ。


かくれんぼしてる最中に私だけ逸れてしまった。
キョロキョロしながら歩いていると、建物の影から手が出てきて引きずり込まれた。


「当たりだ!ドンキホーテファミリーに居るガキだ」
「…っ!?」

私を押さえる男の他にも人が居て、銃やナイフを持っていた。


「今ならドフラミンゴもいねぇ!コイツを人質に金目のもの全部奪ってやろうぜ!」


ジタバタするけど、まったくびくともしない男の腕に思い切り噛みついて逃げ出す。


「イテぇ!!!このクソガキぃ!!!!」

「そっちいったぞ!」


どれくらい走ったのか覚えてない。
ただ、子供の頃の体力だと思うと男達に捕まるのにそんなに時間はかからなかったと思う。

捕まえられて男に上に馬乗りになられて殴られる…
その時


「!!!」


コラさんが助けてくれた。

そこからはあっという間で、周りにいた男の仲間のこともあっという間にぶっ飛ばしてしまっていた。

私は怖くて震えることしか出来なくて、なんなら一瞬で男達を蹴散らしてしまったコラさんも怖くて。

でも私は見てしまったんだ。

震えてる私を困ったように眉根を寄せて笑う顔を。


私はその顔をみて、コラさんに抱きついた。
コラさんは少し躊躇して周りを伺ってから抱きしめ返してくれた腕はとても力強くて、でもすごく優しかった。

その優しさに触れて、今あった怖かったこと、今まであった怖かった事を思い出して思いきり泣いた。
コラさんは背中をポンポンとさすっていてくれた。

「いっぱい泣いたらいい。怖かったな」

聞いた事もない低い優しい声がして、びっくりしてコラさんを見るとさっきと同じように眉根を寄せて困ったように笑っていた。
人差し指を口に当てて内緒だと笑う。


驚きすぎて涙も引っ込んだほどの衝撃だった。
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