第2章 ドレスローザ突入編
男女の営みとは、基本的に愛し合う2人がする行為。
でも私はドフラミンゴに対してそんな感情を抱いたことはない。
むしろ怒り憎しみ嫌悪の感情しか持っていない。そしてドフラミンゴに対してそう感じるが自分に対してもその感情を持っている。
消えてしまいたい。
子供の頃、死にたくない一心だった。ただ死ぬのが怖いから。
ただ今は息をするのすら辛い。
何故私が生きているのだろう。私なんかよりあの人が生きていた方が良かったはず。そうすればこのドレスローザだってこうはならなかっただろう。あの日に全てが狂ってしまった。
私の心もあの日に壊れた。町が滅んだあの日私の心は壊れた。でもあの人との暖かい日々が私の心を癒した。それなのに、あの日。雪が降るあの日に全てが壊れた。赤く染まる雪。言う事の聞かない体。体全体に響く銃の衝撃。鼻につく火薬の匂い。動かなくなるあの人。
「はっ!…はぁ、はぁ…夢…」
何度も見るあの日の夢。あの日から何度も何度も繰り返す。嫌な汗が体中からじんわりと出てくる。部屋を見回すとまだドフラミンゴは帰って来てない。よかった。あの日の話は一切しない事にした。泣かないとも決めた。
-これから先きっとドフィはもっと求めてくる、まだ分からないかもしれない。でも心だけはダメだ。
-心だけは囚われちゃいけねぇ。
大丈夫。一番大切な思い出だけ残ってる。それだけは譲れない。どれだけでもドフラミンゴに捧げる。でもあの人との思い出だけは絶対に譲れない。そして、いつか絶対にドフラミンゴの野望は打ち砕く。刺し違えても。
あの日あの時誓ったんだ。あの人はそんな復讐なんか求めてない。そんなことをするならここから逃げ出して自由になれって言うと思う。でもそれは私が許せない。私があの日の私を許すためには、絶対に成し遂げる必要がある。決意を固めると同時に部屋のドアが開いた。
さぁ、私の私なりの戦いがこれからはじまるのだ。