第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
『ごめんねお待たせ月島くんっ』
きっと清水先輩と話してたとかそんなとこでしょ
女の子って話し出すと止まんないらしいし。
「別に。はやく帰ろ。
ギャラリーがムカつく。」
『ギャラリー…?』
1番目立ってるのは田中さんにもたれかかる西谷さん。魂が抜けたみたいにヘナヘナとしている。
「ノヤー!!ノヤっさーーん!!!」
「は月島と付き合ってんのか…?」
「どっからどう見ても
ノヤっさんの方がいい男だぜ!!!?」
「いや失礼デショ…」
その隣で口をパクパクとさせて
澤村さんに泣きつく菅原さん。
「つ、月島に取られる…っ!
だいちぃぃいいいい!!!!!」
「うるさい!!」
本当に騒がしい人たち。勘弁してよ。
「ああもうめんどくさい。
帰ろう。家どこ、送ってく。」
の手を取ると同時、悲鳴のような叫びが聞こえる。きっと西谷さん。一瞬ピクっと反応した肩に気付かないふりをして歩き出した。
『つ、月島くん…っ』
「なに?」
『ちょ…っと歩くの早いかもです…っ』
「あぁ…ゴメンね。」
彼女の背丈では僕との歩幅があまりにも違いすぎた。それに気が付かず手を引いて歩いていたせいで彼女の息が少し切れている。ここまでずっと繋いでいた手。小さくて、握りしめれば壊れそうなほどに細い。
『ううん、平気だよ
ごめんね歩くの遅くて…っ』
「いや、僕こそ引っ張ってごめん。
ゆっくり歩くから。」
『ねえ、月島くん』
「なに?」
再び歩き始めた僕のシャツを掴んで立ち止まる彼女
『なにか私に話があるんじゃ…ないの?』
「え、いや、えっと…」
『うん?』
話があるってわけじゃなかったし。
どうしよう何も考えてなかった。
ただ君のことがなんでか気になるから。
なんでか一緒にいたいと思ってしまうから。
「…っ、合宿の夜…なんで急に出てったの。」
『…そ、れは』
ヤバい、こんなこと聞くつもりじゃなかったのに。
彼女の視線が僕から逸れて俯く。
きっと聞かれたくなかったんだ。
「あ、いやごめん…なんでもない」
『…い、…の。』
「え?」
『私…男の人が怖…いの。』
「は…?え?」
どういうこと。過去のトラウマ?なに?
そもそも男怖いのに男バレのマネやってんの?
だけど嘘をついてるようには見えない。