第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
『ごめんね、お待たせ月島くん』
「いや、ほんとにいいって…
こんなのすぐ治るし、治ったところで別に僕は期待とかされてないから」
『…どうしてそんなに悲しいこと言うの?
私は月島くんのプレーが好きだよ。』
「そういうの…いいから。」
彼女は優しい人だと思う。
まだ知り合ってそんなに経ってないけど。
愛想が良くて、周りも見れていて、コロコロ表情の変わるような女の子。誰かが落ち込んでたら放っておけないタイプなんだと思う。
だから僕なんかにも優しい言葉をかけてくれる。
『月島くんは背が高いし、バレーボール上手いじゃない。先輩もコーチも月島くんに期待してるよ。もちろん私もね。』
そう言いながらクルクルとテーピングをしてくれる。その小さな手が温かくて、優しくて、不思議と安心するような感覚になる。
「…ごめん。」
『どうして謝るの?』
「キミに気遣わせてるし、
部活外でマネージャー業させてるから。」
『月島くんは優しいんだね』
「何言ってるの」
『入学式の日も、走っててぶつかったのは私の方なのに咄嗟に手を引っ張って助けてくれたし…出会った時から月島くんは優しかったよ。』
「キミといると、ホント調子狂うよ…。」
褒められるのは苦手だ。
嫌なんじゃない。ただくすぐったいだけ。
なんて返したらいいのか分からなくなる。
まっすぐに褒めてくれる彼女に僕は何を言えばいいのか、なんて返すのが妥当なのか…わからない。