第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
「…え、これ…え?
これ中学の卒業式に俺があげた…やつ?」
『うん?だって孝ちゃんにしか貰ってないよ?』
「うれ…しい。
は〜、だいちぃぃいいっ」
「うわ、なんで俺なんだよ!」
「だって…だってこんなの嬉しすぎるべ!?
もなんでずっと持ってんの〜!」
『んー、だってこのボタン私のために取っておいてたでしょ?違う?私が会いに行ったとき既にボタン全部無かったのに第2ボタンだけポケットから出してきてさ。来てくれるなんて思わなかった渡せると思わなかったって泣いてたから。会いに来るかも分からない私に第2ボタン取っておいてくれたんでしょ?そんなの嬉しいじゃん。大切にするに決まってるよ。』
「…っ!仰る通りです…。
ほんとは卒業式終わったら東京まで会いに行こうと思ってた。そんで…って今言うことじゃないべな。今でも持っててくれてめちゃくちゃ嬉しいよ。」
『ふふ、うん!
これからも大切にします!』
話が一区切り着いたところで再び開く体育館のドア。
「「失礼します」」
あれ、この声…
「おー月島、山口!遅かったな」
「すみません、HRが長引いてしまって…」
「そうか、んじゃ始めんぞ!」
「あれ、キミ…」
「なんだ、と知り合いか?」
「あ、いや知り合いって程じゃないですけど」
『あ、あ!この前はごめんなさい!
私、1組のです!
今日はマネージャーの見学できました!!』
「あ…いや僕の方こそ。
僕は4組の月島蛍。ヨロシク」
月島くん!名前覚えた!
無愛想だけど優しい人だきっと!
背が高いから上級生かと思ってたけど…
1年生なんだ、びっくり。
「ツッキーが女の子と話すの珍しいね!」
「うるさい山口。」
「ごめん、ツッキー!」
おお、テンポのいい会話。
2人はもともとお友達同士だったのかな?
「おーい月島、山口!はじめるぞ!」
「「はいっ!」」
「じゃ、僕行くから。
流れ弾とか気をつけて。」
月島くんは私の横をすぎる時に一声掛けてから再びかかった大地さんの声で走って行ってしまった。
やっぱり優しい人なんだ。