第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
「…にしてもあれだなー…っ
あのー、思ってたより綺麗な子だな?
もっとこう…かわいい系かと思ってた」
「旭もういい…しゃべるな…」
『ありゃ、私想像と違いました??』
「んー、あの、スガの携帯の待受では…っう!」
孝ちゃんの手刀が旭さんの脇腹目掛けてはいる。
『あ、旭さん!?』
「スガさんとの写真待受にしてるんですか!みせてくださーい!」
「日向もか…いい加減にしてくれもう…」
『孝ちゃん?私も見たいよ?』
「う…まで…。
わかったよ…見せますから…」
ふぅ…と一息ついてから携帯を取り出して私へと渡される。
『えと、開いていいの?』
「いや…いやぁ…うん。」
『では、遠慮なく…オープンっ』
映し出されたのは私と孝ちゃんのツーショット。
孝ちゃんの中学卒業の日の写真。懐かしい。
「もういい…?」
『待ってもう少しだけ。すごい懐かしい。
これって私が孝ちゃんの卒業式にサプライズで会いに行ったんだよね。喜んでくれて嬉しかったなあ。』
「俺だってまさか来てくれると思ってなかったから嬉しかったよ。あー、思い出しただけで泣きそう。」
『孝ちゃんママから会いに来てやってって頼まれてたの。だから花束持ってサプライズ!カッコよすぎて惚れたでしょっ?』
「はい…惚れました…。」
『でしょでしょー』
「わー!スガさん顔赤いですよー!!」
「うるさい日向ー!」
「スガが照れてるー」
「旭もだまれー!」
孝ちゃんママに頼まれて卒業式にサプライズで会いに行った。校門の前に立つ私を見つけた孝ちゃんが目に涙をたっくさん溜めて走って抱きついてきたの。「なんでいるんだよー」ってわんわん泣いてる彼に花束を渡して、そしたら代わりにって第二ボタンくれたんだよね。そのボタンはお気に入りのクマさんキーホルダーに縫い付けて今もスクバに付けている。
その時に撮った写真を今も待受にしてるなんて嬉しいなあ。特に連絡も取ってなかったし、2年前のあの日から今日まで1度も会ってなかったから尚嬉しい。
『もしかして2年前からずっとこのまま?』
「…うん…ってもうあああ。
バレると思ってなかったんだけど!!」
『ははっ、嬉しいよ孝ちゃん!
私もスクバに貰ったボタンずっと付けてるし』
クマさんをチラッと見せてみる。