第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
「休憩ーー!!」
放課後の体育館に響く大地さんの声。
ドリンクを取りに来る皆にスクイズを手渡すのも慣れてきた。名前だって書き直したから皆ももう迷ってないみたいだし。
「ね、ねえ」
『…月島くん?』
月島くんから話しかけてくれるってあんまない。
どうしたんだろう
「今日ってさ…その。」
『今日?』
「…誰かと帰る約束してたりする?」
『ううん、特に約束はないかな』
「そしたら僕と一緒に…」
一緒に?一緒に帰るってことかな?
『うん、もちろんだよ
一緒に帰ろう!』
「ん。ありがと。」
月島くんからお誘いなんてびっくりだなあ。
合宿の時は結局あんまり話せなかったし
これを機に仲良くなれるかな。
「再開するぞー!」
再びかかる大地さんの声で皆がコートに戻っていく。
「じゃあ僕いくね。
流れ弾気をつけて。」
『うん、ありがとう』
日向くんが月島くんは性格悪いって言ってるけど不器用なだけできっとすごく優しい人なんだなあと思う。私が初めてバレー部に来たときも 流れ弾気をつけてって言ってくれた。それによく周りを見てるなって思う。
練習を再開して数十分
烏養コーチから声がかかる
「おい」
『はいっ』
「影山多分指痛めてるから手当してやってくれ。大したことないだろうからテーピングだけでいい。指はセッターの命だから一応な。」
『わかりましたっ』
「よし、おい影山!ちょっとこい!」
なぜ呼ばれたのか分からないという顔をして駆け足でこちらへくる影山くん。
「うす」
「お前指痛めてるよな、手当してもらえ」
「い、痛めてないっす!!こんなの全然!」
「お前なあ…練習したいのは分かるけどよ。試合でもねえんだから今無理してどうすんだよ、ったく。」
「…ぅす。」
『テーピングするだけだから、ね?
そしたらまた練習戻れるから手当させて?』
「…っす。おなしゃす。」
『うん、じゃあここ座ろうか』
影山くんをイスに座らせて救急箱を持ってくる。
早く練習に戻りたくてソワソワしているのが見て取れる。本当にバレーボールが好きなんだなあ。