第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
『…孝ちゃん?』
隙間のできたところから温もりが消えて寂しくなる。私がどんなに甘えても、抱きついても孝ちゃんから距離をとったことはなかったから。
やっぱり話さずにいた事を怒ってるのかな。
「…これは!ちがう!ごめ、んっ」
『孝ちゃん…やだぁ…っ』
ああどうしよう。ぽろぽろ溢れて止まらない。
離れていかないで…孝ちゃん。
「え、泣いてる!?
ごめんホントに…でもこれは…っ」
何かを言いがたそうに口ごもって少しだけ離れていた体を再びぎゅうっと抱きしめてくてくれた。
『ん、う…っ孝ちゃ…ん』
「うん…俺が悪かった…ごめん。」
『…どうして孝ちゃんが謝るの?
私がずっと話してなかったのが悪いんだよ…。
でもね、離れられると悲しいよ…っ』
「…え、あ、あっいや違…っ
なんだ俺てっきり…違うよ」
何だかほっとしたように
少し頬を染めてアタフタしだす孝ちゃん。
『違う、の…?』
「俺がから離れていくなんて絶対ないから。本当はもっと近くにいたいけど怖がらせたくないんだ。」
私を抱きしめたまま耳元で紡がれていく孝ちゃんの声が少し震えてて、大切にしてくれているんだと痛いほどに伝わる。
『孝ちゃん』
「ん?」
『孝ちゃんのこと怖くない…よ。
傷つけてごめんね…そばに、いてほしいよ。』
「…っあたりまえだろ。」
『う…っぐす、…っんん』
「どんだけ突き飛ばされたって嫌がられたって
俺はのそばにいるからな。
まあ嫌われたら相当凹むけどなあ?」
『突き飛ばしたのはほんとにごめ…』
「謝んなくていいって。俺が悪かったから。
ほらじゃあ、もう寝ようか。
ぎゅってしててやるから、な?」
すごく安心する。
この優しい声と温もりと孝ちゃんの匂い。
孝ちゃんは言った通り本当に抱きしめて寝てくれた。私が眠るときまで背中をトントンと優しく叩いてやってきた睡魔にスっと意識を手放した。