第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
孝ちゃんの部屋で孝ちゃんに抱きしめられながらゆっくりと話し出した私の話を優しく聞いてくれる孝ちゃん。
「…そうだよな。
東京でそんな事があったとか俺全然知らなくて…何回も怖がらせてごめんな。」
『話さなかった私が悪いし。
孝ちゃんなんにも悪くないよ、ごめんね』
「今は怖くない?抱きしめてもいい?」
こんなにも大切にしてくれることが嬉しい。
『うん、ぎゅってして孝ちゃん。』
今は孝ちゃんの優しさに甘えたい。
「ねえ…」
『なーに?』
「聞いていいのかわかんないけど…」
『孝ちゃんにならなんでも話すよ』
もうあんなに悲しい顔見たくないから。
「黒尾と毎日一緒に寝てたって本当か?」
『んー、まあ…んー、本当かな。』
「…っ」
別に話す必要がないとおもっていたけど、ひどく傷ついた顔をした孝ちゃんをみたら話さずにはいられないよ。
『あの事があってから…ひとりでいると思い出して寝られなくて…。そしたらそれに気づいた黒尾さんが、眠るまで見ててやるから大丈夫だぞって一緒に寝てくれたの。』
「それから毎日…?」
『こっちに戻ってくるまではほとんど。
たまに研磨くんが一緒の日もあったな。』
あの日以来黒尾さんが隣にいるだけで
自分でも驚く程に安心して過ごせた。
「黒尾と付き合って…る?」
『ううん?』
「孤爪とは?」
『研磨くんとも付き合ってないよ
研磨くん曰く私は飼い主らしい。』
「…ん?うん。」
『2人には感謝してもしきれないの。』
「これからはさ」
『うん?』
「これからは…また俺がそばにいられるから。自分の家みたいに帰ってきて俺の部屋使っていいし、思い出して辛いなら俺が一緒に寝る。だから俺の事も頼って。」
孝ちゃんは優しい。いつだって優しい。
黒尾さんのいないこっちに戻ってくるのは少し不安だった。だけど私には孝ちゃんがいるんだ。バレー部の皆だっていい人ばかりだもの。少しずつ慣れていけたらいいな。
『うん…孝ちゃんありがと。』
「よしよし、話してくれてありがとな。
合宿疲れてるだろ?もう寝よう。」
『私より孝ちゃんの方が疲れてるでしょ?』
そう言ってぎゅうっと抱きしめると孝ちゃんが少し腰を引いて動かなくなってしまった。