第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
「本日は遠くからありがとうございました」
武田先生と猫又監督が挨拶をして
両校の生徒同士も各々で挨拶を交わしている
相変わらずギリギリと音が聞こえそうな握手をする主将同士。烏養コーチも相手コーチと同じような握手を交わしていて、大人気ないと思ってしまった…。
日向くんは研磨くんと仲良くなったみたいで何か話してる。田中さんはモヒカンの山本さんと似た者同士仲良くなったみたい。
「っ」
『は、はいっ』
ぴしっと横一列に並んだ音駒の皆さんが黒尾さんの声に続いて頭を下げる。
「1日マネージャーありがとうございました!」
『そんな!特に何も…っ
こちらこそありがとうございました!』
「じゃあな」
『はい、気をつけて帰ってください』
黒尾さんの大きな手が私の頭をわしゃわしゃと撫でる
「夏はこっち帰ってくんのか?」
『連休があれば帰るつもりです!』
「そっか、研磨と待ってるな。」
『はい!研磨くんもまたねっ』
「うん、じゃあ…ぎゅーってして。」
スっと私の前に近づいてきた研磨くんに腕を伸ばしてぎゅっと抱きしめた。そして満足そうに微笑んでから抱き締め返してくれた。
「あ、おい研磨こら!」
『黒尾さんもぎゅーっ』
「ん、じゃあ最後に…」
そういって私を抱きしめた黒尾さんの顔が上から近づいてきて、重なる瞬間…誰かの手が後ろから私の口を覆った。
『っ!』
「ウチのマネージャーにこれ以上ハードなちょっかいかけんのやめてクダサイ。」
『…月島くん!?』
「ちょっかいのつもりないけどまあ…今日はやめとこうか…なっ」
やめとこうか、と言った黒尾さんに油断した月島くんが手を緩めた瞬間にもう一度近づいてきた黒尾さんの顔。
『っん、』
「スキあり」
唇の横に触れるだけのキスをされた
「な!ちょっと僕の話聞いてました!?」
イラだったような月島くんの声。
『だ、大丈夫だよ月島くん!
唇の横だし…ね?』
月島くんにぐっと体を引っ張られて彼の体にトン、とぶつかってしまう。じゃあね、とひらひら手を振る黒尾さんの目は笑っていなかった。クロがごめんね、と申し訳なさそうな表情をした研磨くんがもう一度私を抱きしめてから離れて…音駒高校は東京へと帰っていった。