第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
「…っ」
向こうの3番君をブロックした手が弾かれて少しだけ切れた。別に血が流れてる訳でも特別痛い訳でもない。
だけどさっき体育館から走って出ていったがなかなか戻って来ないのが気になる。それを追いかけていった烏野の2番君も。
俺も…行きますか。
水道の方から声がしてそこにいるのだと直ぐに分かった。
菅原さん、と呼んだに2人きりだから名前で呼んで欲しいなんて言ってそれに応える。面白くないな…。
が体育館を出たのは、研磨が足を痛めているからそれの保冷剤を取りに来た為らしい。相変わらずよく見てますこと。
そろそろ出てくか
「まだ?」
『っ黒尾さん?試合中ですよね?』
まだー?と言いながら後ろから抱きしめた。
「んー…指切れたんで介抱されに来ました」
『え、大丈夫ですか!
1回ここで洗ってください!』
肩に顔を擦り寄せて埋めてみるけど、そんなのお構い無しに俺の指の傷口を水道の水で流してくれる。
「おい黒尾離れろよ…は…っ」
が急に男に触れられると怖がるって?
そんなの知ってんだよ。俺はあの日を忘れない。
「がなに?
男に触れられたら怖がるって言いたい?」
「!え…と、」
「俺のこと怖い?」
の顔を両手で包んで振り向かせる
「おい黒尾…っ」
焦る菅原くんの声
「」
ほら答えて。
『黒尾さんは怖くないです』
「ふは、よかったです」
これが聞きたかった。
信じられないといった菅原くんの表情から、この子はを怖がらせてしまった事があるんだろうなと感じ取れた。
もしかしてあの話聞いてないのかと思ったけど、さすが幼馴染くん。あの日の話は聞いてるらしい。
じゃあこれは…?
「そ、じゃあ俺ときらが毎日一緒に寝てたことも知ってるわけだ?」
「え…」
「あー…そこまでは話してなかった?」
ただの牽制。
が東京にいた3年間は俺の方が一緒にいたんだと見せつけたかった。男の嫉妬なんかクソダセぇけど…それでも言いたかった。