第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
「キミは…さんは黒尾と研磨の知り合いかね?」
試合再開直後、猫又監督に聞かれた
『あ、はいっ!そうなんです!
中学生の時だけ親の仕事の都合で東京の学校に通ってて、その時の先輩が研磨くんと黒尾さんです。お2人にはとても良くして頂きました。』
「そうだったか。…研磨はあまり言葉にして伝えることをしない。黒尾には遠慮がなさそうだが…その研磨の僅かな不調を見逃さずに気づいてくれてありがとう。黒尾の指のテーピングも助かるよ。」
『い、いえ!そんな…!
研磨くんと黒尾さんには本当にお世話になったので…こんな小さなことでしか返せないですけど…2人の力になりたいんです。』
本当にこんなに小さなことでしか返せない。
少しずつだけど全部返せたらいいな。
『きっとキミの存在が2人を支えてるよ、大丈夫。返さなきゃと思うことは何もないんだよ。証拠にほら、見てみろ。研磨の目に光がある。黒尾もいつにも増して調子がいい。きっとキミが見ているからだ。』
『…猫又監督っ!ありがとうございます!』
研磨くんの2年間を黒尾さんの3年間を
ずっと見てきたであろう猫又監督。
その人から貰えた激励の言葉が心に染みる。
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この日の試合は音駒が勝利した。
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…もう帰っちゃうのか。
片付けをしながらぼーっと考えてしまう。
久しぶりに会えたのにな。1日って早い。
「なになに、寂しいの?」
『ひぅ!』
ボールを拾うためにしゃがんでいた私の目の前にしゃがんだ黒尾さんが突然視界に現れた。
『く、ろおさんっ!ビックリした…っ
えと…私…声出てました?』
「いーや?顔に書いてありますよ?
黒尾さんと離れるの寂しいってな」
『黒尾さんには何でもすぐバレちゃいますね』
そう言ってヘラッと笑った私の頬を黒尾さんの大きな手が包む。あー…この距離も懐かしいなあ。ほんとにもう帰っちゃうの…?
「…また寂しいって思っただろ。
あのなあ…ああもう!連れて帰りてぇ…」
…!またバレてる!
『そしたらまた一緒に寝られますね、へへっ』
「っもうほんっとに…やだこの子…っ」
『え…っ嫌い…ですか?』
「んなわけねえだろ!大好きだばか!」
『!!私もです!黒尾さん大好き!』
大好きな人からの大好きは嬉しいなあ。
